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ep.10.1 ページ6
ロードでのゲームが続く、ここ2週間。
俺は前列のベンチで、今日も今日とて
仲間を見守る。
戦況によっては登板する可能性も頭に入れつつ、
5回くらいにはブルペンに移動しようかなと
ボンヤリ思う。
回ってきた翔くんの打席を見守っていた時...
「『うわッ!!』」
抜けた球が翔くんの顔面スレスレを
通過したのが見えて、思わず声を上げてしまった。
俺の声と翔くんのデッカイ声が被る。
…っていうか、本当に通過しただけ!?
当たったりしてない!?
冷静に考えるより先に、体が動いていた。
隣にいたデトを押しのけて、グラウンドへと一直線。
俺のすぐ後ろに立って、ゲームを見守っていた
一平さんが、俺を止めようと腕を伸ばしてきたが
それをスルリとかわす。
「 "bunny、落ち着けー！" 」
「 "ショウには当たってないぞ！" 」
「 "bunnyを止めろ！" 」
みんながそんな風に言ってるけど、その声は全部、
俺の耳をスルリとすり抜けていく。
俺の視界には、グラウンドにいる翔くんだけ
しか映っていない。
今の自分には冷静さなんて1mmもなくて…
翔くんにもしものことがあったらって、
そう考えると、ただただ怖かった。
グラウンドの翔くんを目指してダグアウトを
飛び出そうとした時、目の前にバッと誰かが
飛び出してきて、俺を真正面から抱きしめた。
「 "シュウ!!" 」
真剣でかつ鋭い声に、ハッと目の前の人物に
焦点を合わせる。
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作者名：天然水。 | 作成日時：2024年1月5日 17時
