The bunny2 (ページ5)

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ep.9.5 ページ5

翔平以外の4人が笑ってて、
翔平だけがプリプリ怒ってる。

1人怒っていた翔平は、自分の1番近くにいた
史悠くんへと手を伸ばし...
柔らかそうな彼の頬を、ボールを投げ込んで
豆ができた手でぷちゅっと軽く押し潰した。

「史悠のくせに生意気だから」
そう言った翔平の声は先ほどよりも幾らか明るくて、
表情も柔らかくなっていた。

史悠くんは頬を押し潰されながらも、
いつもとは違い反抗はせず、戻ってきた翔平の明るさに
楽しそうにニコニコしている。

そんな史悠くんの様子を見て、翔平は両頬を解放して、
彼の耳元へ唇を寄せた。

それはほんの一瞬のことだったけど、史悠くんの笑顔が
パァッとさらに深まったから、きっと翔平が
「ありがとう」とか言ったんだろうな、と思う。

翔平はチームメイトとか監督には素直に
感謝を口にするのに、俺や史悠くんみたいに、
昔から知っている人に対しては本当にここぞ、
って時にしか、素直に言葉にしてくれない。

まぁ意地っぱりな翔平にはもう慣れっこだし、
そっちの方が翔平らしいとは思うんだけどね(笑)
それに言葉にしなくても、彼の行動を見てれば
ちゃんと伝わってくるから。

…だけど、たまに言葉にしてくれると、
やっぱり嬉しいんだよね。

翔平はさっきよりもずっとスッキリした表情で、
史悠くんから離れると…
少しだけ罰が悪そうにはにかみながら、
順番に俺たちの肩に軽く自分の拳を当てて、
裏へと消えていった。

翔平の表情に明るさが戻ったことを確認した俺たちは、
顔を見合わせて笑い合う。

俺が心配しなくても、きっとエンゼルス(ここ)に
いれば大丈夫だね。
翔平の笑顔の源が、このチームには
たくさん散らばっている。

あとは、プレーオフ進出を果たせるくらい
チームが強くなれば、本当に本当に
心配いらないんだけど…。

なんて思いつつ、俺は3人のキラキラ眩しい
笑顔を見つめていた。