The bunny2 (ページ34)

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ep.14.3 ページ34

これじゃあ埒があかん、
と翔くんは俺の腕を解いて

「言うわけねーだろ」
って、言い放ってお風呂に行くために立ち上がった。

『翔くんのケチ！言ってよ！』
「言わねぇってば」

遠ざかる背中に声をかけても、やっぱりつれない返事。
まじで頑固すぎるーーー!!

俺も大概しつこい性格で、どうしても諦めたくなくて…
バッと立ち上がって、翔くんの背中目掛けて
ダッシュ、からのバックハグ！

『ねえ、お願いもう1回だけ！』
分厚い翔くんの体は、俺の突進を受けても
動じることはない。

そんな彼の鋼の肉体を密かに
堪能しつつ(別に変態じゃないぞ)、彼の返事を待つ。

暫くの沈黙の後で、翔くんがくるりと
無言でこちらを振り返った。
そして、ゆっくりと俺の身長に合わせて
体を折り曲げたかと思うと...

「史悠は大事な存在だよ」

耳元に少し触れた唇が、そんな言葉を落として、
すぐに離れていった。

囁かれた言葉より、急に縮められた距離に
意識がギュンッと持っていかれる。
な…なんで、そんな至近距離で言うんだよ!?

そう咄嗟には口に出来ず、ただただ呆然と
彼を見つめていると、翔くんはしてやったり顔。
なるほど…しつこかったから、意地悪したんやな…！

そう納得した途端、思考回路が正常に機能し始める。
くぅ〜、ちょっとドキドキしてしまった自分が悔しい!!

『翔くんの意地悪！』
ニヤニヤ悪い顔をしている翔くんに、悪態をつくと

「は？欲しがったのは史悠の方だろ？」
と、勝ち誇ったような笑みを浮かべて言い放った彼。

いや、確かに言って欲しかった言葉だったけどさぁ…。
そんな文句が頭の中でグルグル廻る。

けど、何を言っても翔くんに跳ね返されるに決まってる、
と思って何にも言えないでいると、

「やりすぎた…？」
そんな呟きとともに、頭に優しい温もりが落ちてきた。