The bunny2 (ページ30)

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ep.13.5 ページ30

暫くすると 2人の合戦はおさまって…。
サンディーさんがデトに絡みに来て、
2人は定位置の前列ベンチへ戻ってしまった。

翔くんはというと、さっきの合戦なんて
なかったかのような涼しい顔で、
打席の準備を始めている。
そんな様子を見つめながら、やっぱり独占欲が
あるなんて、信じられんなと思う。

俺はかなりストレートに翔くんに気持ちを
ぶつけてるんやけど、翔くんは意地悪で
クールな感じだから、全然ピンと来ん…。

なんて思ってると、俺の視線に気づいたのか、
翔くんも俺を見つめて…

ベーッて舌を出して、意地悪く笑った。
それがなぜだか、とても可愛く見えてしまった。

だから俺は、意地悪な笑顔の翔くんに
"頑張って打って！" と想いを込めて、
握った拳を彼の方へ突き出した。

そしたら翔くんは、少しキョトンとした後で、
俺の意図を理解したのか、自分も握った拳を俺に見せて、
そしてそのままネクストへと歩いて行った。

その姿をジーッと見つめてたんだけど、
ベンチから出るほんの一瞬...

さっき握った拳をそのまま口元に近付けて
(俺には自分の手にキスするように見えたけど...)、
優しく目を細めて柔らかな笑みを浮かべた。

本当に、ほんの一瞬だったんだけど、
それは俺の意識をぜーんぶ奪っていった。

そのくらい…儚げな美しさがあって…
大袈裟かもしれないけど、息が詰まりそうだった。

「 "いい絵がとれた、って彼女が喜んでたよ" 」

ボーッとしていた俺の頭に、トラ兄の嬉しげな声と
大きな優しい手が降ってきた。
ハッとして視線を上にあげると、
笑顔のトラ兄が視界に映る。

トラ兄は俺の頭を撫でながら、
エリカさんの方に目を向ける。
俺もそれにつられて彼女に視線を向ける。

そして……思い出したッ!!
『 "トラ兄、あの写真見たの?!" 』

あーんってされてる、俺の恥ずい写真!!
翔くんとサンディーさんの合戦があって、
すっかり忘れとったけど…。