The bunny2 (ページ21)

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ep.12.3 ページ21

「どこ行くん？」

運転する史悠に、ふと思い出したように尋ねる。
方面だけは聞いたけど、その他のことは
一斉聞いていない。

『ん〜？服買いに行く〜』
真っすぐ前を見ながら答える史悠は、
朝からずっとニコニコしている。

可愛いんやけど…史悠が楽しみにしていればしているほど
買い物が長引きそうで、ちょっと怖い…。

『翔くんもきっと気に入ってくれると思う♪』
俺も気に入る…？

今までの史悠の服装を思い浮かべてみるけど、
史悠はセンスもいいし、何を着ても似合うし…

『史悠が着てるもんなら、俺は何でも好き』
本当にそう思う。

自分にないセンスを持ってる史悠を見てると、
輝いて見える。
コニフォーム姿も悪かないけど、
俺は史悠の私服が好きだ。

俺のために服を選んでくれる日もあって、
実はそれがすごく嬉しい。
(本人には絶対に言わないけど。)

『え、ほんと...？』
赤信号で停まったタイミングで、
史悠は目を丸くして俺を見つめてくる。

「ほんと」

短くそう答えると、史悠は心底嬉しそうに笑って
「嬉しい」と言った。

俺も史悠の幸せそうな笑顔が見れて嬉しい。
そう伝えるのは、気恥ずかしくて
「そっか」とだけ呟いた。

ショッピングモールへ着くや否や、
史悠は俺の手を引いてドンドン歩いていく。

目的のお店に着いたと思えば、
史悠は店内をグルリと見渡して

『これだ、これ！』
って、お目当ての服を見つけて駆け寄る。

その姿が公園に遊びに来た、
無邪気な子どもみたいで愛らしい。

ほんと、ベッカムくんと重なっちゃうな(笑)
マイクの影響なのかな…？

『もうワンサイズ大きいのないかな〜？』
服を手に取って、史悠がポツリと独り言。

「そのサイズ、丁度良さそうやん」
見た感じ、そのサイズで十分そうだけど、
と史悠に話しかけると

『翔くん、このサイズじゃ入らんやろ？』
と予想外の返答。