The bunny2 (ページ2)

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ep.9.2 ページ2

「そうだよね」
俺が手の力を緩めて、そう答えると

『うん、一平さんなら翔くんの凄さ、
　いやってくらい知ってるやろ』
彼が意地悪な顔で俺を見てニヤリと笑った。

その顔が翔平ソックリで、そんなところは
似なくていいのにな...と思いながら、
俺は自分の心が少しだけ軽くなったのを感じた。

そしたら史悠くんは満足そうに頷いて、俺の手から
手を離して、最前列に座るデトマーズの隣に
戻っていった。

先程の打席でも、出塁することなくゴロに倒れた
翔平が隣でまた目を皿にして、タブレットで自身の
バッティングを振り返っている。

暫く黙って動画を確認していた翔平が、
突然髪をグシャグシャッとして
苛立たしさを表わにした。

史悠くんはああ言ってたけど、
こんな翔平を見ると、やっぱり不安になってしまう。

翔平は俺の方を見ることなく、俺にタブレットを
押しつけて、ダグアウトの後列にドカッと座った。
彼は眉間に皺を寄せて険しい顔をしている。

…俺にできることは、ただ翔平を信じて見守るだけだ。
さっき、史悠くんのおかげで前向きになった気持ちが
また後退してしまいそうだ。

そんな風に心が翳り始めた時…

『翔くん!!』
いつもより明るい史悠くんの声が飛んできた。

かと思ったら、史悠くんがタックルする勢いで
彼ろから翔平に抱きついた。
思ってもみなかった行動に、
俺も翔平も驚きの表情を浮かべる。

だけど…
「何。ジャマ」
ぶつかってきた人物が史悠くんだと認識すると、
翔平はすぐに先程までの負のオーラを戻して
冷たい声でそう返した。