The bunny2 (ページ1)

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ep.9.1 ページ1

【一平 side】
最近、翔平のバッティングの
調子悪いな…。

長いシーズン、良い時があれば悪い時があるのは
当然で、心配するようなことではないんだけど、
全く心配しないって言うのは無理なわけで…。

何より翔平のメンタルが気になる。

翔平の方を見てみると、テイムズさんにバットに
コーヒーをかけてもらっている。
ここ最近の翔平の験担ぎ。

今日は他にもバッティンググローブに祈って
みたり、バッドに蘇生マッサージをしてみたり…
色々やってるんだけど、効果は出てくれない。

テイムズさんと話す翔平は一見楽しそうに
見えるけど、いつもより顔が暗いように見える。
それを見る度に胸がキュゥと締め付けられる。

俺には対戦相手の映像を用意して、それを翔平に
渡してあげることくらいしかできない。
俺は選手じゃないから。

そんな自分の無力さにグッと拳を強く握りしめる。

…と、握りしめた手が温かさに包みこまれた。

ハッとしてその温もりの正体を確認すると、
史悠くんの手だった。

『大丈夫だよ』
彼はハッキリそう言った。

翔平ほどではないけど、それなりに長い付き合いだから
史悠くんは俺の気持ちに気づいてくれたのかも。

『翔くんはちゃんと修正できる人だから』
そう続けた史悠くんは、真っすぐな目で
翔平を見つめている。

その瞳は、純粋で明るい光を放っている。
本気で翔平のことを信頼してるんだ、
とその瞳を見て思う。

史悠くんは小さい頃から、ずっとずっと翔平に憧れて
どんな時でも彼を真っすぐに信じ続けてきたんだろう。
きっと、その想いが翔平の強さの1要素なんだろう、
と俺は思う。

だから、史悠くんがエンゼルス(ここ)に来てくれて
本当によかったと、今でも思う。