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ある日の練習風景 ページ9

ボールを強く叩く音が体育館中に反響する。

俺はこの音が大好きだ。


俺はネットを隔てて向こう側にいる
将洋さんをジッと見つめたまま
レシーブ体勢を取っていた。

将洋さんは真剣な眼差しで
目の前に掲げたボールを見つめている。

俺はこのピリッと張りつめた空気が好きだったりする。

同じ空間にいる人たちがみんな、
サーバーを、バレーボールを、見つめる。

これほど会場の人間の視線を集められるのは
この瞬間だけで
それは最高の快感でしかない。


向かい側にいた将洋さんが一度大きく息を吐いて
高くトスを上げた。

そして…
高く高く飛んだ。

俺はこの瞬間の将洋さんに惚れた。

俺にはない翼が彼にはあって
彼のフォームはいつ見ても
綺麗で、羨ましくて、
どうしようもなく惹かれてしまった。


バンッ

俺の目の前に彼が放った強烈なサーブは落ちた。

痛々しい音を立ててボールは勢いよく弾む。

「ちー!集中して!」

コートの向かい側から将洋さんの大きい声が飛んできた。

「あ…すんません!!」

俺は時々、将洋さんのこの美しいフォームに見惚れてしまって、レセプションを忘れることがある。

その度にこうやって将洋さんに注意されては謝っている。

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作者名:天然水。 | 作成日時:2019年11月24日 22時

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