一緒に ページ13
【有志side】
いつ見ても千紘は美しいと思う。
正確に言うと
千紘が上げるボールの軌道が、だ。
どんなに強烈なサーブが来ようが
どんなにエグい角度のスパイクが来ようが
千紘は何ともないように、ふわりと上げる。
まるでボールに小さな羽が生えたかのように。
俺はどちらかと言えばパワープレイが得意で
この体つきのせいか、よく千紘に
"ゴリラみたいや"と言われる。
対する千紘は俺とは違って繊細だ。
千紘のボールの扱い方はあまりにも鮮やかで
初めて見たときの衝撃を
今でも俺は鮮明に覚えている。
そんなことをボーッと考えながら休憩していると
彼が俺の元に駆け寄ってきた。
「有志がボーッとしとるの珍しいなあ(笑)」
ニヤリと笑いながら、彼は俺の隣に座った。
男にしては少し高い声。
男にしては細い体。
そして、白い肌に大きな瞳。
男にしておくのがもったいないくらい、
千紘は女の子っぽい。
さすがに可哀想やから本人には言わへんけど(笑)
ジッと俺の目を見つめる千紘は、どうやら
俺が何か言うのを待っているみたいだ。
「俺…千紘と一緒にするバレーが1番好きやで」
俺の口から出た言葉は、あまりにも脈略がなかった。
でも、なぜか急に伝えたくなった。
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作者名:天然水。 | 作成日時:2019年11月24日 22時