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〜9話〜 ページ11

私は、いつの間にか家に帰ってきていたらしい。

家の匂いがする。

だけれども、私の目はまだ開かない。

今は、何時だろう。

あのカフェで意識を手放してから、どれくらい経ったのか...。

それより、亮介くんと莉亜は帰っただろうか。

もしも、まだ私の家にいてくれているのなら、申し訳なさ過ぎる。

特に、亮介くんは寮の門限が厳しいはずだ。

まだ意識がもうろうとしているなか、そんなことを考えていると___

不意に頬にひんやりとした感触を感じた。

『A、ごめん。』

そんな声が、聞こえた気がした。

声の主は...静哉、じゃない。

だとすると...亮介くんしかいない。

私は、そう思った瞬間、起き上がっていた。

貴「あ!」

亮「ふぇ?」

いつもの亮介くんらしからぬ声だ。

そう思って横を見ると、寝ぼけた顔をした亮介くんが見えた。

あれは、寝言だったのだろう。

ホッとする気持ちと、寂しい気持ちを感じる。

その中の、ホッとした気持ちだけを残して、私は口を開いた。

貴「り、り、亮介くん。」

亮「A...良かった。心配した。」

そう言って、私の頭を軽く撫でた。

そんな些細な行動にも胸が高鳴ってしまうのだから、重症だ。

どうにかおさえなければならない。

私には、亮介くんを好きになる資格なんかない。





貴「ご、ご、ごめんね。こんな時間まで。」

そう、今の時間は夜の10時。

亮介くんは、大丈夫、と言うけれど、きっと大丈夫じゃない。

帰ってもらわないと。だけど...

貴「せ、静哉と、り、り、莉亜は?」

亮「あぁ、静哉の家で夜ご飯作ってるよ、2人で。」

貴「ふふ、2人で!?」

亮「うん、今日は静哉のお母さんの帰りが遅いみたいだから。」

貴「そ、そ、そうなんだ。」

静哉にも莉亜にも迷惑かけちゃった。

亮「あの2人は、迷惑だなんて思ってないよ。大丈夫。」

そう言って、優しく微笑んでくれる。

私の気持ちを見抜いて、
安心させてくれる亮介くんは、やっぱりカッコいい。

だけど、今日はいつになく優しい気がする。

やっぱり、私がこんなだからかな...?

...いや、それでもいい。

今だけ、今だけだから、嬉しいと思っても良いよね。

亮「ねぇ、A。もしよかったら、聞かせてくれない?」

いつも通りの優しい口調で問うてくる。

私は、考える間もなく、頷いていた。

亮介くんは、少し驚いたような顔をしたけれど、“ありがとう”と言った。

そんな私たちを静かに見守っている2人には気づかなかった。

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*ももか(プロフ) - (名前)望花さん» 混乱させてしまったならすみません!これは、私が勝手に作った亮さんたちが2年生の頃のお話なんです!だから、まだ倉持は1年生だから試合に出てない設定でよろしくお願いします!! (2019年6月7日 22時) (レス) id: e5790203c3 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)望花(プロフ) - 1番は倉持ですよ〜 (2019年6月4日 23時) (レス) id: f5c4d2c0f7 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)望花(プロフ) - 2番セカンド小湊亮介ですよ(*`・ω・)ゞ (2019年6月4日 23時) (レス) id: f5c4d2c0f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月25日 9時

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