夏祭り ページ7
夏休みのど真ん中の今日、先輩と夏祭りに行く約束をした。
お母さんに浴衣を着付けてもらい、髪の毛も少し凝ったお団子にした。
夏っぽい大きなお花の髪飾りを付け、パールの付いたピンを刺す。
汗をかいても汚くならないくらいのお化粧をして、いつもより少しだけ濃い色のリップをした。
黒と赤の浴衣に生える黒髪と唇がいつもよりも色っぽく見える。
カランコロンと鳴る草履を履いて、出店の沢山出ている河川敷に向かった。
☆
少し涼しくなってきた夕方の空はオレンジ色と紫色が混ざった淡い色をしていた。
「はぁ、A浴衣似合いすぎ、最高」
そう言って私の隣を歩くのは、自慢の彼氏のロンジュン先輩だ。
私の方をチラチラ見てはため息をついて、耳を真っ赤にしている。
そんな先輩も今日は浴衣を着て来てくれた。
細いラインの入ったシンプルな紺色の浴衣は、少し引き締まった印象を与える。
夏休みだから染めたと言っていたミルクティー色の髪の毛は緩くセットされ、ふわふわの綿菓子のようだ。
『先輩も浴衣すっごく似合ってる、かっこいいよ』
「それは当たり前だろ」
何故かそこは譲らない先輩も愛おしい。
実は私にかっこいいって言われて照れてるの知ってるよ。
ガヤガヤとした周りの人の声も今日はなんだか心地がいい。
はぐれないようにぎゅっと先輩の手を握れば、しっかりと握り返してくれる。
先輩の方を見ればなに、って笑いかけてくれて心臓がきゅんってなった。
「なんか食いたいもんある？」
『んー、帯が苦しくて食欲が…』
「なんも食わないのは体に良くないから、俺と半分こにするか」
『わ、待って、その前にあれやりたい！』
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作者名：RUI | 作成日時：2022年7月10日 21時
