13.あと＿ ページ14
事故にあった日のこと、
あれは確か、
私が周助を、
カメラ屋さんに誘った時だった。
上機嫌な私が、
ふらふらと、
歩いていのが、運の尽き。
少し、ほんの少しだけ、
歩道から外れただけだったのに＿＿＿＿
-
今日は、カメラ屋には行かない。
行きたくない。
彼とは一緒には帰る。
だけど、絶対に寄るもんか。
｢今日は随分と変だったけど、
体調でも悪かったの？｣
｢ううん、平気だよ。｣
教室を飛び出した私は、
５限、６限、と教室に戻ることなく、
二時間連続でサボったのだ。
先生にはもちろん怒られたし、
課題だって出された。
言い訳する必要も無いため、
｢はい、｣と何回か返事をしたら、
普通に返してくれた。
｢今日、部活が早く終わるから、
一緒に帰らない？｣
｢うん、わかった。
終わるの、待ってるね。｣
タイムリミットは、
あと、1時間30分＿＿＿
-
なにか特別にする気も起きなくて、
ただ、いつもの様に、
君の練習する姿を見ていた。
込み上げてくる涙を、
手で拭いながら。
｢ごめんね、｣と、
鳴き声混じりの声は、
風に、流されて行く。
時間が過ぎるのは、早い。
いつの間にか太陽は、
頭上を遥かに逸れて、建物の奥へと、消える。
コートに響く、
大人数の声が、
終わりを、知らせてくれる…
｢待たせたね、帰ろうか、A。｣
｢うん。｣
差し出されたその手に、
己の手を重ねて。
(この温もりを、忘れたく、ない…)
頬に、一筋の涙が伝った。
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