今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:18,769 hit
小｜中｜大
10.互いの名を刻む ページ11
｢え？｣
｢時計、壊れてるよ、A｣
｢え、ああ、うん。｣
(壊れてる……？)
返された時計を見ると、
確かに、壊れている。
時計の針が、
止まったまま、動いていない。
｢修理に出さないの？｣
｢え、うーん……
そのうち、出しに行こうかなあ…｣
時計が壊れたのは、
事故で壊れたわけじゃなかったんだ。
もっと前から、
懐中時計は止まってしまっていたなんて、
なんで気が付かなかったんだろう…
｢あ、A、良さそうなもの、
見つけたよ。｣
｢本当？｣
手招きをする周助が見せてくれたのは、
可愛らしいストラップ。
それには色々種類があり、
動物だったり、蝶だったり、と
バリエーションが豊か。
そのストラップには、
イニシャルが刻まれていて、
周助は、｢はい、｣と
私の名前の入っている物を、
渡してくれた。
白いうさぎの背に刻まれた、
文字を眺めていると、
もう一つ、ストラップが
差し出される。
｢折角だから、
お互いの名前が刻まれているのにしようか。｣
｢…そうだね、折角だもんね！｣
君と過ごしたこの時間を、
忘れないように、
記憶させて。
私の生きている今が、
『偽り』だったとしても、
忘れないよ、ずっと………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
