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伽耶side
昔からAのことが嫌いだった。Aと直接的な関わりは無かったけど、噂や家の人が話してるのを聞いて嫌悪感を抱いた。
「なんでもそつなくこなす。」
それがA。
私とAは同い年だったこともあって色々比べられた。術式、容姿、身体能力、etc…
努力してなくてもなんでも恵まれてるA。
努力してもAには劣る私。
中学の時、剣道で日本1になった時もそうだ。
家の人は褒めてくれたし喜んでくれた。でも、誰も心の底から喜んでくれなかった。皆、冷泉Aに夢中だから。誰も私のことを見てくれなかった。
結局、落ちこぼれは努力したって落ちこぼれだった。
私が高専に入学を決めたら、Aも高専に行くことが決まったらしかった。誤算だった。ようやくAと離れて、私自身を見てもらえると思ってたから。
Aが高専に来る前に、私は居場所を確保するために必死だった。Aが来たらきっと私の居場所が無くなるから。
ネットで調べた、男ウケの良い程々なぶりっ子。化粧もバッチリして、それを演じている。そのおかげか、好感度は普通だ。悪いよりマシ。それからAにも、少し当たりを強くした。
それなのに。
『伽耶は術式もないのに頑張ってるし、努力家だからすぐ振り向いて貰えるよ。』
Aは私の手のマメを見ながら言った。私の手を見る眼差しは慈愛に満ちてた。
本当になんなの。意味わかんない。嫌いな奴にそんなこと言われたらウザイはずなのに。ウザイよりも嬉しいって気持ちの方が強い。
Aが任務に行って私1人になった教室。
伽「努力家なんて初めて言われた…本当に意味わかんない…。」
意味がわからなかった。Aの私は接点ほとんどないのに努力家だって言われたこと。それから_______
私の頬を流れる涙の理由が。
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作者名:さまおい | 作成日時:2022年3月14日 7時