27 相棒 ページ29
貴「待ってじいちゃん。こんな高そうなものは流石に勿体無いよ。
もう少し私でも扱いやすいのを…」
店主の前で話す言葉ではないが、申し訳なさそうにじいちゃんに言うと
ｶﾞｰﾌﾟ「ダメじゃ。わしはAに良い物を買ってやりたい。
それにわしが持ってる万年筆も10年以上前に買った物じゃ。
万年筆は名前の通り長く使える物だからな、ちゃんとした物を買ってやりたいんじゃ。」
じいちゃんにしてはもっともらしい意見が返ってきた。
じいちゃんの意見も一理あるが、私がこんな高級品扱えるのか？と不安にしていると、店主が助け舟を出してくれた。
店主「お嬢さん万年筆は初めてかね？
じゃあ、初心者でもメンテナンスがしやすい物で選ぶとこの辺りが良いと思いますぞ。」
と万年筆を3本まで絞ってくれた。
その3本の内で1本だけ、惹かれるものがあった。
それは深緑に見えるが、近くで見ると鼈甲の模様の様に深緑や青、黒、ゴールドが入っていた。
松の葉の様な、深い海の底の様にも感じられる色は美しいと感じた。
思わず手にとってみると重心が重く、手に馴染む太さだった。
無言で見始めた私に店主はインクを用意してくれ、試し書きをさせてくれた。
文字は細めだが紙を滑る様に書くことができ、今まで使っていたペンがいかに書きづらかったか理解した。
これであれば長時間書類と戦う私でも手が疲れることなく書き続けられそうだ。
色の主張も激しくなく上品な出立ちと、サラサラとした心地よい書き心地に、
自分の仕事の相棒を見つけた様な感覚に至った。
気が付いたら「これにします。」と声に出ていた。
店主「毎度あり。包むからちょっと待っててね。」
そう言って店主が奥に行ってしまうと、あっという間に万年筆を決めてしまった不思議な感覚にボーッとしてしまった。
そうしてる間にじいちゃんは店主にお金を払い、紙袋を私に持たせると、
ｶﾞｰﾌﾟ「昇格おめでとう。」
と慈愛に満ちた笑顔で言ってくれた。
店主「私からもおめでとう。おまけでカートリッジもつけておいたよ。」
店主からもお祝いの言葉をもらい、まだ心がふわふわとしていたが、なんだかこそばゆいような感覚が体を走り、頬が柔らかく上がる。
これは今自分が幸せを実感している時なんだと気付き、こうやって家族や誰かが祝ってくれることにあたたかな幸せを感じた。
貴「ありがとう。」
この幸せを噛み締める様に私は2人にお礼を言った。
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モクレン(プロフ) - <みんと色様 貴重なコメント誠にありがとうございます。36、37話修正いたしました。 (4月1日 9時) (
レス) id: 127f12fb6b (このIDを非表示/違反報告)
みんと色 - 海軍本部のおつるさんは平仮名にしないと和ノ国のお鶴さんと被りますよ。 (3月29日 23時) (レス) @page46 id: 12fd651767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モクレン | 作成日時：2024年3月12日 15時
