15 夕食 ページ17
1人分の夕食をトレーに乗せて、溢さないよう収容室へ向かう。
見張りの海兵に事情を話し中に入る許可をもらった。
中の民間人を驚かせたくないため、いつもより控えめにドアをノックしゆっくりと入る。
収容室は簡易ベッドが四隅に4つ、中央には大机置かれ、それなりに広い部屋だった。
海兵が運んでくれたのか、私が手に持っている夕食と同じものが大机に3つ置かれており、
民間人のうち2人は席につき、既に暖かいスープとパンを噛み締めるように食べていた。
1人は若い女性、もう1人は私と同い年くらいの少年だった。
しかしここで目的の少女の姿が見えず部屋を見渡す。
入り口付近からでは見えない場所にいるのか、部屋の中を探すように進んでいると、
そんな様子を見ていたのか、若い女性が私に話しかけてくれた。
女性「もしかして、あの子を探しているんですか？」
そう女性が指を指した方向を見ると、部屋の一番奥のベッドと壁の狭間に少女は体を縮こませて座っていた。
女性にお礼を言い、少女の分のトレーを持って一歩一歩ゆっくりと近づく。
人1人分だけ間を空けて地面に座り、少女の目の前にそっとトレーを置いた。
警戒心を煽りたくないため、彼女の目線と交わらないよう壁にもたれて座り、
私はまだ比較的暖かいであろうスープに口を付け始める。
少女の方に動きはない。
私が近くにいる事は認識している様だが、食事に手を付けようとはしなかった。
緊張感を緩めるために私は話しかけてみることにした。
貴「私の名前はA。よろしくね。
あなたの名前を知りたいんだけど、教えてくれる？」
目線は合わさない様に、けれども少女に向けて優しく言葉を乗せる。
しかし、しばらくしても返答がないため、仕方ないか…と諦めてスープを口に運んでいると、
少女「アナ」
と、か細く小さな声が私の耳に届いた。
よかった。言葉は話せる様だと安心した私は会話を進める。
貴「アナ。そう、とても素敵な名前ね。
ねえアナ、ご飯を用意したんだけど食べれそう？それとも食欲ない？」
そういうとアナはまた小さな声で、
ｱﾅ「しょくよく ない…」
と辿々しい言葉で答えてくれたが、続けてこうも言った。
ｱﾅ「なんで たすけたの」
その言葉が聞こえた瞬間、私の心はギュッと掴まれた様な感覚があった。
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モクレン(プロフ) - <みんと色様 貴重なコメント誠にありがとうございます。36、37話修正いたしました。 (4月1日 9時) (
レス) id: 127f12fb6b (このIDを非表示/違反報告)
みんと色 - 海軍本部のおつるさんは平仮名にしないと和ノ国のお鶴さんと被りますよ。 (3月29日 23時) (レス) @page46 id: 12fd651767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モクレン | 作成日時：2024年3月12日 15時
