12 引き金 ページ14
そんな私の決断と苦労を知らず、
目の前の男はヘラヘラと笑ってくるので、イラつきが増す。
そのイラつきに任せ一歩前へ踏み出すとダボイはあるものを見せつけてくる。
ﾀﾞﾎﾞｲ「おっと、それ以上近づくなよ？こいつがどうなってもいいのか？」
そこにはダボイの腕の中で細く窶れた少女が人質となっていた。
さらに目を引いたのは、少女の顔だ。
全くもって表情がなかったのだ。
全てを諦めた様な、この部屋の暗闇をもっと濃く凝縮してドロドロとした瞳で虚空を見つめていた。
ダボイはその少女の頭へ銃口を押し付け、勝ち誇った様な顔でペラペラと話し出す。
ﾀﾞﾎﾞｲ「こいつを殺されたくなければ、今すぐ軍を引き返させろ。」
銃口が頭に突きつけられ、引き金が引かれれば死んでしまうというのに少女の顔はピクリとも変化しない。
その姿は、生きていていいのかと苦しんでいた兄の昔の姿と重なり、
少女へと与えられた苦痛の数々が想像でき、頭に血が上った私は、
先程から鬱陶しくペラペラ話しているダボイの声が聞こえなくなっていた。
気付いた時にはダボイの顔を殴っていた。
きっと私はこの世の顔をしていなかったのだろう。
ダボイが私の顔を捉えた瞬間、青ざめ脂汗をかいていたのだから。
ダボイを殴ったら時間差で、ジーンと拳から腕へと痛みが伝わり、私の思考も冷静に戻ってきた。
これ以上は何もさせまいと、立ち上がれないダボイへと瞬時に近づき、
まだ手に持ったままの銃を目掛けて蹴り上げ、銃を遠くへ飛ばす。
最後に土手っ腹目掛けて渾身の拳を入れたら、ダボイは動きを止めた。
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モクレン(プロフ) - <みんと色様 貴重なコメント誠にありがとうございます。36、37話修正いたしました。 (4月1日 9時) (
レス) id: 127f12fb6b (このIDを非表示/違反報告)
みんと色 - 海軍本部のおつるさんは平仮名にしないと和ノ国のお鶴さんと被りますよ。 (3月29日 23時) (レス) @page46 id: 12fd651767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モクレン | 作成日時：2024年3月12日 15時
