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説明しよう ページ37





そこに立っていたのは、紛れもなくとしみつで、ポカンとした表情で私達を凝視していた。りょうくんが、「あ、としみつ」と私から腕を解くととしみつは「あ、おう」と頭を搔いた。りょうくんに向けられていた視線がいつの間にか私に向けられていて目が合って、慌てて逸らした。

「はい、届け物。気をつけてね A、バイバイ」
『え、ちょっと !』

私の困惑になんて目もくれず りょうくんはびしょ濡れの私に傘を渡して フードを被って踵を返した。暗闇に消えていくりょうの背中を横目にとしみつの方を振り返る。

「行くよ」
『、何処に』
「家、タオルとか、貸すから。」

彼もまた私と目を合わせずに雨で濡れた地面を見つめながらそう言った。私が返事をする前に彼は私に背を向けて 歩き始めた、その背中は不機嫌オーラを周りに振りまいている。



としみつの家に着くや否や、タオルとドライヤーを貸してくれて応急処置だけどびしょ濡れの髪の毛を乾かした。狭いけれど綺麗な彼の家にお邪魔するのは片手に数えるくらいだし今回は二人きりだ、そんな事は前例には無い。しかも私達の今の関係性は、はっきり言って最悪だ。

『助かった、ありがとう』
「ん、」

洗面所から出ると としみつはソファーの上で携帯をいじっていた。何処に居ればいいのか分からず、とりあえず本題の誤解を解かなくては、と隣にストンと座ると 彼は携帯を触っていた手を止めた。

『あのね、』
「雨強まってきたかな」
『としみつ、』
「お茶入れるよ 」
『っ聞いて!』

私の話をあからさまに逸らし、立ち上がったとしみつの腕を咄嗟に掴んだ。見上げたとしみつの顔はやっぱり不機嫌だったけど 負けじと彼を見上げた。

何秒かに渡るにらめっこをして、やっととしみつが「わかったよ」と観念したようにソファーに座り直した。

『昨日の夜、りょうと一緒に居たのは本当だけど、コレは ただの虫刺されで りょうが付けたんじゃないの、』


キスマークなんて今現在、というかここ何年か彼氏がいない私が付けられたら直ぐに気づく事も一緒に告げた。だけどとしみつはまだ不服そうで疑っている、私とりょうが付き合っている、と。

だけどとしみつも黙っていないようで。


「だってさっき抱き合ってたし」
『あれは私が濡れたから』
「この前だって馬乗りになってたし」
『あれは事故、不本意』



としみつの歪んだ顔が段々戻ってくる。

彼はうわぁ、とソファーに項垂れた

我らのバカリーダー→←強まる雨とイタリア人



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まりこ - 移行まだですかー!笑笑 ずっとまってます… (2019年3月12日 2時) (レス) id: 433cc2ff51 (このIDを非表示/違反報告)
タルヒ(プロフ) - このゆったりとした雰囲気すごく好きです!主人公が謙虚なのも好感!更新楽しみです。頑張って下さい! (2018年12月23日 10時) (レス) id: d9b43e6eea (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - コメント失礼します!続編ありがとうございます!とても楽しみにしてました^ ^ (2018年12月9日 0時) (レス) id: 3c35cfd113 (このIDを非表示/違反報告)
みずれ - コメント失礼します!いつも楽しく読ませていただいています。そして、あっていたらすみませんが、「私たちの高校時代」のお話で、てつやの元カレになってしまっています。m(__)mあっていたらすみません!これからも更新楽しみにしています! (2018年9月30日 12時) (レス) id: a68df7c0fe (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 初コメ失礼します!とても面白くきつもキュンキュンさせてもらっています!(小並感)これからも更新楽しみに待っています! (2018年8月28日 17時) (レス) id: 07dc2dc5de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なぁちゃる | 作成日時:2018年7月20日 23時

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