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三十七話 ページ40

無惨様にAを尾行しろと命じられ、人間に擬態し気配を消しつつAの後をつけた。


Aは小石につまづいて転び、多くの人間にぶつかりながら人混みを歩き、何度も同じ道を行き来していた。


見ている方が焦ってしまうが、Aは楽しそうに目を輝かせ、街中の花屋を巡っていた。




「あおいひがんばな、ください!」


「青い彼岸花?そんな花聞いたこともないよ」




だが、当然ながらどの店にも青い彼岸花を知る者はなく、軽くあしらわれてしまっていた。


それもそうだろう。街中の花屋で買える花であれば私達鬼がここまで苦労する必要はない。



一定の距離を開けながら後を着いていくと、視界に見覚えのある姿が入り、咄嗟に近くの路地へと隠れる。



「あれ?もしかして、A様?」



「えんむ!」




建物の影から顔を覗かせると、Aの前には下弦の壱である魘夢が立っていた。



「何をされているんですか?こんな所で」



「ひみつ!」



「えぇ…意地悪だなぁ」




魘夢とAは人通りの多い道にも関わらず、楽しそうに談笑している。



「えんむは、なにしてるの?」



「ふふ…俺も秘密という事にしておこうかな」



「えー!」



Aは口をぷくりと膨らませる。




「…あ、そうだ、よかったらこれあげるよ。少し作りすぎてしまったんだ」



「これなに?」



「切符だよ。これを見せれば汽車に乗れるから」



「きしゃ?」



「その切符は“無限列車”だけだけれどね」


「景色はとても良いと定評があるから、良ければあの御方と一緒においで」



魘夢は頬を赤らめAの頭を撫でる。



「それと…あの御方にありがとうございますと伝えておいてね。あぁ…こんなに沢山血を分けて頂いて、私は夢見心地でございます…♥」



「??」



首を傾げるAを他所に、魘夢はふらふらと歩き出した。


確かに、無惨様にかなり血を分けていただいたようで魘夢の纏う空気は最後に会った時より強くなったように思う。


Aが先へ進むのを確認すると、私は大通りへと足を踏み入れる。



「おや…奇遇ですね。黒死牟様」




その瞬間、魘夢と目が合った。




「…久しいな…」




軽く返事をしてその場を離れようとすると、手に何かの感触が伝わる。



「良ければ、黒死牟様も1枚」



見ると、手には“無限列車”と書かれた切符が握られていた。




「…暇を頂くことができれば…乗りに行こう…」



「えぇ是非。お待ちしております」




魘夢と別れ、傍を通った人間の鞄に切符を忍ばせると、そのままAの後をつけた。

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(ねこたん ・∇・ - 「私を見下せたのがそんなに嬉しいか」にツボってます(( (2月25日 21時) (レス) @page4 id: f02fa02e3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 無惨と夢主が微笑ましすぎてつらい、気付かないうちに口角が釣り上がってしまいました! (2月18日 23時) (レス) @page43 id: e2553842fc (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶(プロフ) - 皇帝の一人娘みたいな感じがあって好き (2022年8月9日 19時) (レス) @page5 id: 59c4260589 (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» 鬼滅の刃の漫画を拝読させていただいた際に鬼舞辻無惨が自らがいる場(無限城や遊郭など)では名を呼ばれても呪いを発動していないシーンが見受けられましたので、本作もそのようにさせ頂きました (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!返信遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!これからも頑張って更新させていただきますので何卒よろしくお願いします! (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もきゅもきゅ | 作者ホームページ:http://mokyumokyuuu  
作成日時:2019年12月27日 21時

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