三十二話 ページ34
「ここへ来い…小遣いをやろう…」
黒死牟が手招きをするとAは小さい歩幅で駆け寄る。
「おこづかい？」
「欲しい物が出来たら…使うと良い…」
懐から取り出された巾着を受け取ると、Aははにかむように微笑む。
「ありがとう！！」
「お前は…良い子だ…」
「小遣いなんぞ必要ないだろう。金の使い方もわからん餓鬼だ」
「私が持っていても…使いどころがありませぬ故…」
黒死牟は喜ぶAの顔を見て柔らかく目を細めた。
つくづくAには何処か甘い男だ。
「じゃあ、俺はそろそろお暇させてもらおうかな」
「俺もだ。お呼び頂き有難う御座いました」
「だめ！」
皆が帰る支度を始めると、Aは目に涙を浮かべながら地団駄を踏む。
「かえっちゃだめ！とまって！」
「可愛いことを言ってくれるなぁ！Aちゃん」
「是非泊まっていきたいけれど、俺はこの後ちょっとお仕事があるんだよね」
「今度うちに遊びにおいで。Aちゃんの好きそうなものを沢山用意しておこう！」
童磨は嘘臭い涙を流しながら包み込むようにAの身体を抱きしめる。
「…言っておくが俺達は上弦だ。それも上位のな」
「下弦なんぞと同様に考えるな」
「みんな、しなない？」
上弦達は顔を見合せ、笑い声を上げる。
「あははは！生まれてこの方そんな心配されたことがなかったよ！」
「俺達はAちゃんが生まれる何百年も前から生きているんだぜ。鬼狩りだって山のように倒した」
「そう簡単に死んだりなんかしないよ」
Aは上弦の顔を見渡すと大人しく私の元へと戻ってくる。
「お前は…本当に成長した…」
「次に会う時を…楽しみにしておこう…」
「ばいばいAちゃん！無惨様もお元気で！」
「貴様に言われる筋合いはない。帰れ」
「失礼致します」
「ばいばい！」
Aが手を振ると同時に鬼達は各々の元いた場所へと飛ばされた。
辺りに静けさが広がる。
「おとうさん！」
「何だ」
突然振り向いたかと思えば、Aは両手を上げぴょんぴょんと跳ねる。
「だっこして！」
「黙れ」
「ぎゅう！」
「私は彼奴らの様に甘くはない」
足元を鼠のようにうろつかれ、鬱陶しさに敵わず抱き上げてやると、Aは私の胸元へ顔を埋める。
「おとうさん、だいすき！」
「…」
頬を染め喜ぶ姿にため息をつき、そのまま部屋へと歩を移した。
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(ねこたん ・∇・ - 「私を見下せたのがそんなに嬉しいか」にツボってます(( (2月25日 21時) (
レス) @page4 id: f02fa02e3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 無惨と夢主が微笑ましすぎてつらい、気付かないうちに口角が釣り上がってしまいました！ (2月18日 23時) (レス) @page43 id: e2553842fc (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶(プロフ) - 皇帝の一人娘みたいな感じがあって好き (2022年8月9日 19時) (レス) @page5 id: 59c4260589 (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» 鬼滅の刃の漫画を拝読させていただいた際に鬼舞辻無惨が自らがいる場(無限城や遊郭など)では名を呼ばれても呪いを発動していないシーンが見受けられましたので、本作もそのようにさせ頂きました (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 星さん» ありがとうございます！返信遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした！これからも頑張って更新させていただきますので何卒よろしくお願いします！ (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もきゅもきゅ | 作者ホームページ：http://mokyumokyuuu
作成日時：2019年12月27日 21時
