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三十話 ページ32

「お!Aちゃんもしかして前より少し大きくなったかい?」


「おおきくなった!!」


「やっぱり!良い事だよ。感心感心」



童磨はAの上半身を持ち上げぐるぐると身体を回転させる。


Aは余程楽しいのか足をばたつかせ叫ぶように笑い声をあげている。



「何故お前がここにいる!」



「やぁやぁ、久しぶりだな猗窩座殿!」


「俺抜きで宴会を開こうなんて随分水臭いじゃないか!言ってくれたらもっと土産を持ってこれたのに」



あっけらかんとした口調で笑う童磨に苛立ちを覚えつつ盃の中の稀血を流し込む。



「2人共行儀が悪い…席へ着け…」



「ほらAちゃん、黒死牟殿もああいっていることだしそろそろ座ろう」



Aの手を取り童磨は何故かわざわざ俺の真横の前の席へと座る。


苛立ちを隠すように顔を背けると童磨は箸で皿に乗っている肉をつまみ始めた。



「Aちゃん、食べてみるかい?」


「これなぁに?」


「人間の女の肉だよ。栄養がたっぷり入ってて俺の大好物なんだ!美味そうだろう?」



無惨様や黒死牟はこちらを特に気に留める様子もなく黙々と酒や肉を食している。



「Aいらない…」


「えぇ!勿体ないことを言わないでおくれよ。それとも君も猗窩座殿のように何かこだわりでも…」



「にんげん、きらい!」



童磨は驚いたように目を見開く。



「Aは…頑なに人間を食さんな…」


「Aちゃんはお腹が空かないのかい?人を食わない鬼なんて初めて見たよ」



黙り込むAに無惨様が重い口を開く。



「こいつは人間を食える」


「我儘で言っているだけだろう」



童磨の膝の上へ座り、唇を尖らせ黙り込むAの頬を長細い指がぷにぷにとつつく。



「そうなの?残念だなぁ絶対に気に入ると思うのに」


「この獣肉はどうだ…味は薄いが…」



「じゅうにく?」



「猪や熊の肉だ。人間の物よりは食べにくいが」



Aは暫く考え込むと黒死牟が差し出した獣肉を口へ含む。


「おいしい!」


途端に頬を桃色に染め笑顔に変わる。



俺達は顔を見合わせるとAに色々な肉を勧める。


だが、Aは他の動物の肉は美味そうに食すものの人肉だけはどうしても口にすることはなかった。

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(ねこたん ・∇・ - 「私を見下せたのがそんなに嬉しいか」にツボってます(( (2月25日 21時) (レス) @page4 id: f02fa02e3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 無惨と夢主が微笑ましすぎてつらい、気付かないうちに口角が釣り上がってしまいました! (2月18日 23時) (レス) @page43 id: e2553842fc (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶(プロフ) - 皇帝の一人娘みたいな感じがあって好き (2022年8月9日 19時) (レス) @page5 id: 59c4260589 (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» 鬼滅の刃の漫画を拝読させていただいた際に鬼舞辻無惨が自らがいる場(無限城や遊郭など)では名を呼ばれても呪いを発動していないシーンが見受けられましたので、本作もそのようにさせ頂きました (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!返信遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!これからも頑張って更新させていただきますので何卒よろしくお願いします! (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もきゅもきゅ | 作者ホームページ:http://mokyumokyuuu  
作成日時:2019年12月27日 21時

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