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十三話 ページ14

私がA様に初めて会ったのは、まだA様が言葉を覚えたばかりの頃だった。



「……A様…」




それからまだ、さほど年月が経っていないというのに



背丈も大分伸び、愛らしくなっていた



顔立ちも無惨様に近付いてきている




やはり鬼の成長は、人間よりも早いらしい






「ご無沙汰………」




「…!!」





A様は肩を揺らして振り向いた。



まだ幼い。私のことは覚えていなくて当然だ。



私の顔は不気味だ、怯えて泣いてしまうだろか





「こんにちは!」





膝をつき、頭を下げると、小さな手で頭を撫でられる。





「おなまえ…」




「……黒死牟と申します…」




「こくしぼう!」





A様は私の懐へ飛び込むと嬉しそうに目を閉じる。






「…私のことを…覚えていてくださったのですか…」




「うん!」





頭を撫でると、足をじたばたと動かし笑う。




そうだ…A様は初めて私を見た時も、怯えたりはしなかった


朗らかに、楽しそうに笑っていた




「あそぼ!あそぼ!」




A様は小さく飛び跳ね私の袖を引っ張る。





「…申し訳ありません…私は…あの御方に…」




「随分と楽しそうだな」




「!…」





気付けばあの御方が目の前に立っていた。



A様は笑顔で手を振るが、私は頭を下げる。





「黒死牟、外にAを連れて行け」



「…!」




「こいつが1日人間として擬態できるかを見張れ」



「私は薬の調合をする」





A様は笑顔を向け、無惨様に歩み寄る。






「おとうさん」




「……何だ」




「おとうさん、しゃがんで!」






A様が催促をすると、無惨様は呆れ顔で目線を合わせる。




「いってきます!」




そう言うと無惨様の頬に口吸いをする。






「!!?」





「ばいばい!」





無惨様はほんの一瞬目を見開きとても驚かれていた。





「……それでは…」






A様を抱き上げ、部屋を出ると外の世界へ飛ばされる。




「……何処で…覚えられたのですか…?」




「ないしょ!」





悪戯に笑うA様の頭を撫でると、夜の街を歩いた。

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(ねこたん ・∇・ - 「私を見下せたのがそんなに嬉しいか」にツボってます(( (2月25日 21時) (レス) @page4 id: f02fa02e3e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 無惨と夢主が微笑ましすぎてつらい、気付かないうちに口角が釣り上がってしまいました! (2月18日 23時) (レス) @page43 id: e2553842fc (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶(プロフ) - 皇帝の一人娘みたいな感じがあって好き (2022年8月9日 19時) (レス) @page5 id: 59c4260589 (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» 鬼滅の刃の漫画を拝読させていただいた際に鬼舞辻無惨が自らがいる場(無限城や遊郭など)では名を呼ばれても呪いを発動していないシーンが見受けられましたので、本作もそのようにさせ頂きました (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)
おむれつ(プロフ) - 星さん» ありがとうございます!返信遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした!これからも頑張って更新させていただきますので何卒よろしくお願いします! (2022年2月16日 21時) (レス) id: b911301b3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もきゅもきゅ | 作者ホームページ:http://mokyumokyuuu  
作成日時:2019年12月27日 21時

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