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更新手続き fkr ページ5

マンションの更新手続きの書類が届いた。
あぁ、もうそんな時期か、とため息がでる。
彼女と暮らし初めて二度目のこの書類。
そろそろ潮時かもしれないな、と疲れた頭でぼんやり考えた。


同棲して約四年。
俺の仕事が忙しくなってきて会える時間が減ったことをあまりに寂しがるAに一緒に住むことを決めた。


最初はただ一緒にいるだけで幸せで、スペースなんていくらでもあるのに二人でくっついていた。
お揃いのマグカップも、同じ匂いのする洗濯物も、二人で選んだカーテンも全部が照れくさいのに嬉しくて。


夜更かしが苦手なのに遅くまで俺を待っててくれるところも、俺の健康を気にしてなるべく野菜を食べさせようと試行錯誤してくれるのも、仕事が上手くいかなくてピリピリしている俺をそっとしておいてくれるところも、朝寝坊の俺にキスをしてから家を出るところも、生活を共にして改めてまた好きになった。


Aはいつだって可愛くて優しくてそんなところについ甘えてしまった。


“疲れているから”と求め合うことが減って、“行ってきます”のキスがなくなって、“好き”だという言葉も言わなくなった。
今じゃ顔を合わせることも少ない。


何だかんだと俺に甘えてくれるAが好きだった。
オチなんてないどうでもいい話を楽しそうに話してくれるAが好きだった。
俺の前で素直に泣いてくれるAが好きだった。
だけど、そんな彼女はもういない。


今だってしっかり食事を作ってくれるし、洗濯も掃除もこなしてくれる。
俺の話も聞いてくれるし、会話がないわけではない。
それでもいつも話をするのは俺ばかりで、Aはいつもどこか他人行儀で。


きっとそうさせたのは俺だから、やるせなくて胸が痛い。
Aが好きで、まだ一緒にいればいつかはあの日のような関係に戻れるのではないかと考えてしまう俺は彼女にとってどれだけ残酷な存在なんだろう。


更新手続きの書類に目をやる。
もう終わりにしなくては、なんて頭ではわかっているのだけれど。

友人として kwmr→←セカンドポジション izw



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作者名:ももりん | 作成日時:2020年5月30日 18時

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