続き sgi ページ17
「A」
「うん?」
「ちょっと来て」
タイピングをする手を止めて、駿ちゃんが私を呼んだ。
彼の邪魔にならないようにと読んでいた本を閉じ、駿ちゃんの隣に座った。
駿ちゃんは疲れたのか眉を寄せて目を閉じていた。
「ちょっと手貸して」
私が手を差し出すと、駿ちゃんは私の手を自分の頬へと持っていた。
眉間にあったしわがすーっとなくなっていく。
「Aの手って気持ちいいんだよね」
険しかった表情が緩んで、駿ちゃんは本当に気持ち良さそうに言った。
熱いくらいの彼の頬。
勉強熱心な駿ちゃんが好きだけど、頑張りやさんの彼が時々心配になる。
「駿ちゃん」
「ん?」
駿ちゃんが目を開けたから至近距離でばっちり目が合って、今度は私が瞼を閉じた。
そっと唇が重なって、そのまま何度か口付けを繰り返す。
はぁ、と吐息が漏れると駿ちゃんは名残惜しそうに唇を離した。
「続き、早くしたいからもうちょい頑張る」
「うん」
再びパソコンに向かった彼の背中は格好よくて、あまり無理はしないで欲しいなって思いながらも彼のそんなとこも好きなんだよなって小さな矛盾に気が付いて少し笑った。
カタカタと叩くキーボードの音をBGMに私は、駿ちゃんとの続きを大人しく待つことにした。
それが終わったら、いつも一生懸命頑張ってるあなたを沢山甘えさせてあげたいよ。
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作者名:ももりん | 作成日時:2020年5月30日 18時