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早めに仕事を切り上げて席を立つと、撮影の準備をしていた福良と目があった。
「河村、もう帰るの?」
相変わらずテキパキと仕事をこなしていく彼は尊敬すべき同僚だ。
「あぁ、うん。彼女が待ってるから」
「食事でも行くの?」
「いや、家で月見。十五夜だから」
福良は一瞬きょとんとしたあと、笑った。
「本当に仲がいいね」
からかうように福良が言うから何だか照れ臭くて、僕も小さく笑った。
自宅の最寄り駅から程近い商店街の八百屋で枝豆と、肉屋で唐揚げを買った。
まだほんのりと温かくて、食欲をそそる香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
Aのことだから、ビールは用意していても団子のことで頭が一杯でつまみは用意してないだろう。
空を見上げると6時前だと言うのにまだまだ明るくて、月が出るのはもう少し先かな、なんてぼんやり考えた。
福良の言う通り、僕らは仲が良いと思う。
仲が良いと言うか、相性がいいと言うか。
不思議とAと一緒にいると安心出来るし、何でもないことも嬉しかったり、言葉では上手く言えないけれど、恋人だなんてカテゴリーでは収まりきらないような関係な気がする。
どこからともなく香る金木犀の匂い。
まだまだ夏を感じさせる蒸し暑さの中、しっかり秋は訪れているのだな、なんて思うと無性にAに会いたくなった。
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ぽん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした!ほんとにこの作品が好きで、更新されるたび歓喜雀躍しておりました…!!ももりんさんの書くkwmrさん、不器用だけど優しくてほんと素敵でした…!また違う作品も楽しみにしています!ステキな作品ありがとうございました! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 4b7a069960 (このIDを非表示/違反報告)
ももりん(プロフ) - そらまめさん» 返事が遅くなってすみません。そんなふうに言ってもらえて嬉しいです。恐ろしく遅い更新ですが、是非最後までお付き合いくださいませ(*´-`) (2020年7月24日 16時) (レス) id: 281ef44def (このIDを非表示/違反報告)
そらまめ - えっ…めっちゃ好みドンピシャだぁ…なんかこう緩い雰囲気なのに甘々なのがもうっ、好きです!!!(突然の告白) (2020年6月28日 13時) (レス) id: f9e97d8abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももりん | 作成日時:2020年5月16日 18時