He ページ13
桜を見ると少しだけ寂しくからあまり好きではない。
昔からそうだ。
花の命は須く短いが特に桜はそう感じさせる。
あっという間に散っていく桜に別れを連想してしまう僕はフランスの花言葉を知ったとき深く共感した。
僕にもたれ掛かって卵焼きを頬張るAは今僕に恋をしているけれど、ふとしたときにいつまで側にいてくれるかな、なんて思ってしまう。
Aは魅力的だから、いつか僕よりもずっと良い人が現れてそっちへ行ってしまうんじゃないか、なんて。
「“私を忘れないで”かぁ。
なんかロマンチックだけど私たちとは無縁っぽいね」
もぐもぐと食べながらAはぼんやりと桜を見上げた。
それを飲み込むとAは僕の顔を覗きこんで微笑んだ。
「だってさ、ずっと一緒にいるんだから忘れることなんてないもんね」
なんて可愛い彼女なんだろう。
僕はいつだってAの明るさに救われる。
僕が笑っているとAは口を尖らせた。
「私、一生河村さんといるつもりなんだけど」
「うん、勿論僕もだよ。ありがとう」
誰もいないのを良いことに僕たちは唇を重ねた。
桜はすぐに散ってしまうけど、また来年も綺麗に咲くのだから寂しくなる必要なんてないのかもしれない。
「また来年もお花見しようね、約束よ」
指切りをしようと小指を差し出す彼女が可愛くて仕方ない。
来年も再来年もそれよりずっと先の未来でも桜の季節はAと一緒に花見をしよう。
そしたら僕もいつか桜を好きになるかもしれない。
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ぽん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした!ほんとにこの作品が好きで、更新されるたび歓喜雀躍しておりました…!!ももりんさんの書くkwmrさん、不器用だけど優しくてほんと素敵でした…!また違う作品も楽しみにしています!ステキな作品ありがとうございました! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 4b7a069960 (このIDを非表示/違反報告)
ももりん(プロフ) - そらまめさん» 返事が遅くなってすみません。そんなふうに言ってもらえて嬉しいです。恐ろしく遅い更新ですが、是非最後までお付き合いくださいませ(*´-`) (2020年7月24日 16時) (レス) id: 281ef44def (このIDを非表示/違反報告)
そらまめ - えっ…めっちゃ好みドンピシャだぁ…なんかこう緩い雰囲気なのに甘々なのがもうっ、好きです!!!(突然の告白) (2020年6月28日 13時) (レス) id: f9e97d8abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももりん | 作成日時:2020年5月16日 18時