いつか君は俺を置いて ページ10
表示された090で始まる彼女の携帯番号。
ボタン一つ押せばすぐに繋がるのに、緊張して震えた指ではなかなか押せない。
拳ちゃん、携帯買ったのー？じゃあ私の番号登録してあげるね！って俺の返事を待たずに登録された電話番号には“Aちゃん♡”と名付けられていた。
だけど毎年夏に会えるし、そもそも３歳も年上の彼女に話す内容なんて子供の俺には何一つ思い付かなくて今まで掛けたことなんてなかった。
今電話したとして何と言えばいいのだろう。
“何処に引っ越したの？”
“また会えるの？”
“なんで教えてくれなかったの？”
どれも聞いてはいけない気がした。
それでも、せめてAちゃんの声が聞きたいと目をぎゅって閉じてボタンを押す。
携帯番号を耳に当て、彼女が出たら最初に何を話そうかと賢明に考えていた。
なのに、
そこから聞こえる“この電話番号は現在使われておりません”という冷たい機械音声。
目の前が真っ暗になって、嫌な汗が額を伝った。
心が打ちひしがれて、放心状態の俺はその電話を切ることもできずに、ただ繰り返される非情な音声を聞き続けた。
*
再び鳴ったAちゃんのスマートフォン。
それを見ながら、あの頃の俺には電話なんて掛ければ繋がるものだと思っていて、番号がなくなるだとか着信拒否だとかそんなことがあるなんて知らなかったな、なんて思って苦笑いした。
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ももりん(プロフ) - 早瀬さん» はじめまして。早瀬さんからコメント頂けるなんて……！嬉しいお言葉ありがとうございます(*_*)のんびりの更新になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。私も早瀬さんの作品楽しみにしてます♪コメントありがとうございました！ (2021年4月24日 10時) (
レス) id: 2cecb9fa7c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして。『花束を君に』がとても好きで、それからももりんさんの作品を拝読しております。fkrさんが好きなのでももりんさんのfkr長編が読めること、とても嬉しいです！更新楽しみにお待ちしております！頑張ってください♪ (2021年4月23日 22時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりん | 作成日時：2021年4月18日 23時
