君のSOSに気づくことさえ ページ25
顔が一瞬で燃え上がるように熱くなって、鏡なんか見なくとも真っ赤になったのがわかった。
俺は、浮かれていたんだ。
Aちゃんが俺に電話をくれたから。
家に来てくれたから。
俺がAちゃんに触れるのを許してくれたから。
今夜、一緒に食事に行ってくれたから。
……あの頃と変わらない笑顔を、俺に向けてくれたから。
馬鹿か、俺は。
俺は曖昧に笑って、彼女はそれに応えるように微笑んでから僅かに残っていた泡盛を飲み干した。
Aちゃんが何も気にしていなさそうなのが唯一の救いで、細く長いため息をつけば酔いもさめて、彼女にとって俺は一体なんなのだろうかなんて下らないことが頭をよぎる。
「……ふふ」
「うん？」
「拳ちゃんは私と沖縄、行きたいの？」
やや上目遣いで俺を見つめるAちゃんはどことなく寂しそうに見えた。
俺は何て答えたら良いのだろう。
どんな答えがAちゃんの欲しがっているものなのだろうか。
Aちゃんに見つめられると俺は頭が真っ白になってしまう。
あの頃から変わらないよ、俺。
「……どうかな、はは」
彼女の前では酷く自信がなくて。
「なにーそれー」
可笑しそうに大きな口を開けて笑うAちゃんは、まるであの頃のまま。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←ガキの俺には
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 156人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももりん(プロフ) - 早瀬さん» はじめまして。早瀬さんからコメント頂けるなんて……！嬉しいお言葉ありがとうございます(*_*)のんびりの更新になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。私も早瀬さんの作品楽しみにしてます♪コメントありがとうございました！ (2021年4月24日 10時) (
レス) id: 2cecb9fa7c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして。『花束を君に』がとても好きで、それからももりんさんの作品を拝読しております。fkrさんが好きなのでももりんさんのfkr長編が読めること、とても嬉しいです！更新楽しみにお待ちしております！頑張ってください♪ (2021年4月23日 22時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももりん | 作成日時：2021年4月18日 23時
