誰にも頼らずに生きてやると ページ15
中学3年生の夏。
とうとう父が母と私を捨てて、女と逃げた。
泣き崩れている母の背中を擦りながら「哀れだな」と思った。
それに気付いたのか母は私の手を払って、血走った目で私を睨みつけて引っ叩いた。
「お前さえいなければ！」
ああ、うん。
そうだよね。連れ子の私さえいなければ違ったんだと思いたいよね。
自分の愛した人を、自分の選択を間違いだったなんて思いたくなんかないよね。
でもね、お母さん。
残酷なことを言うけど、きっとあの人は私がいなくたってお母さんのことを捨てたよ。
じんじんと熱を帯びている左頬。
痛みはリアルだ。
見たくもない現実を容赦なく突きつける。
子供みたいに泣いて叫んでる母を、他人事のようにぼんやりと眺める。
私はこの人の実の娘だから、お母さんのこと捨てる訳ないのに。
それでもこの人はお腹を痛めて産んだ私よりも男を選ぶんだなって、妙に冷静にそう思った。
*
「今年は沖縄でも行くか」
「え？」
「ほら、付き合って５年だし、なんか区切りいいじゃん？」
うちにあるシャンプーじゃない匂いを纏っている彼は、私が作ったハンバーグを食べながらそう言った。
そんなことをきちんと覚えているこの男は、私よりもずっとまめだ。
そりゃあモテるよねって甘い人参のグラッセを食べながら納得した。
「それにさ、A言ってたじゃん」
「うん？」
「綺麗な瑠璃色の海が見たいなぁって」
いつだったかのピロートークでそんなことを話した気がするけれど、まさか話した本人でも忘れちゃっているような話まで覚えているんだと驚いた。
だからといってそこに愛を感じたりはしないのだけど。
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ももりん(プロフ) - 早瀬さん» はじめまして。早瀬さんからコメント頂けるなんて……！嬉しいお言葉ありがとうございます(*_*)のんびりの更新になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。私も早瀬さんの作品楽しみにしてます♪コメントありがとうございました！ (2021年4月24日 10時) (
レス) id: 2cecb9fa7c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして。『花束を君に』がとても好きで、それからももりんさんの作品を拝読しております。fkrさんが好きなのでももりんさんのfkr長編が読めること、とても嬉しいです！更新楽しみにお待ちしております！頑張ってください♪ (2021年4月23日 22時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりん | 作成日時：2021年4月18日 23時
