強くなりたいと願った ページ14
瑠璃色のドレスを着たお姫様が戦う絵本が大好きだった。
プリンセスは映画の世界でも絵本の世界でも冒険なんてしない。
いつだって王子様を待つばかりで、そんなのつまらないと思っていたし、とても嫌だった。
女の子だからピンクの服を着るとか、守られてばかりでいるのとか。
自分の足で自分の行きたいところに行きたかったし、欲しい物は自分の手で掴み取りたかったし、選んでもらうのではなく私が選びたかった。
私は誰にも頼らずに自分で自分を幸せにしたかったの。
*
事後、すぐにソーシャルゲームに夢中になる彼の首元には小さな内出血。
それをなぞると、彼は不愉快そうに眉間にしわを寄せて私を見た。
「どうした？」
「んーん、なんでもないよぉ」
ぱっと手を引っ込めて、何も気づいてないようにふにゃふにゃした笑顔を作る。
「あ、そう」
すぐに視線をスマートフォンに移した彼に虚しくなるわけでも寂しくなるわけでもなく、彼に背を向けて目を閉じた。
この男にとって私が本命であることは確かなのだ。
二人で暮らし始めて3年。
基本的には毎日帰ってきてくれるし、遅れるときはきちんと連絡をくれる。
毎年記念日はお祝いしてくれるし、今だってこうして身体を重ねたりもする。
職場に馴染めなくて退職した私を文句も言わずに養ってくれている彼は、私とは違って出来る人だ。
大企業の出世頭で、顔も良くて背も高くて。
絵本の中なら間違いなく王子様だろう。
だから、いいの。
他に遊び相手の女の子がいようが、お粗末な夜遊びをしてこようが、それでも私が一番ならそれでいい。
結局私の生き方は母そのものだ。
あんなふうにはなりたくない、絶対にならないと強く思えば思うほどに私はあの人の娘なのだと思い知らされる。
結末は多分母と同じなんだと思う。
馬鹿みたい、馬鹿みたい。
昔の私が今の私を見たら泣くんだろう。
それでも私には自分の足で立てる強さはないから彼に縋るしかない。
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ももりん(プロフ) - 早瀬さん» はじめまして。早瀬さんからコメント頂けるなんて……！嬉しいお言葉ありがとうございます(*_*)のんびりの更新になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。私も早瀬さんの作品楽しみにしてます♪コメントありがとうございました！ (2021年4月24日 10時) (
レス) id: 2cecb9fa7c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして。『花束を君に』がとても好きで、それからももりんさんの作品を拝読しております。fkrさんが好きなのでももりんさんのfkr長編が読めること、とても嬉しいです！更新楽しみにお待ちしております！頑張ってください♪ (2021年4月23日 22時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりん | 作成日時：2021年4月18日 23時
