プロローグ ページ1
麦茶をなみなみと注いだグラスを2つ持って、Aちゃんの待つ縁側に急ぐ。
カラカラと響く氷の音は涼しげでむんむんとした暑苦しさを和らげてくれる。
「おまたせ」
「拳ちゃん、ありがとう」
もう結露してきているグラスを渡すとAちゃんは弾けるような笑顔でそれを受け取る。
白いワンピースがよく似合うAちゃんは3つ年上の親戚の中学生。
毎年夏休みになると父方の祖母の家で過ごす僕たちは姉弟のようで、一人っ子のAちゃんは僕のことをとても可愛がってくれた。
冷たい麦茶を一気に飲み干すAちゃんを横目で見る。
うっすらと汗ばんだ透き通るような白い肌と、血色の良い赤い唇は僕をなんとも言えない気持ちにさせた。
「拳ちゃん、ちょっとこっちおいで」
「うん」
手招きされて素直にAちゃんの横に座ると、ぐっとAちゃんの顔が近づいて唇が重なった。
沢山氷の入ったよく冷えた麦茶を飲んだあとの唇は冷たくて心地よかったけれど。
「ちょ、」
驚いた僕をよそ目にAちゃんは眉根を寄せて小難しそうな顔をしたあと「うーん、麦茶味？」と小首を傾げた。
「やっぱりレモンの味なんてしないよねぇ」
そう言って笑ったAちゃんは僕よりずっと大人に思えた。
小学四年生の夏。
僕のファーストキスはこうして奪われたのだ。
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ももりん(プロフ) - 早瀬さん» はじめまして。早瀬さんからコメント頂けるなんて……！嬉しいお言葉ありがとうございます(*_*)のんびりの更新になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。私も早瀬さんの作品楽しみにしてます♪コメントありがとうございました！ (2021年4月24日 10時) (
レス) id: 2cecb9fa7c (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - はじめまして。『花束を君に』がとても好きで、それからももりんさんの作品を拝読しております。fkrさんが好きなのでももりんさんのfkr長編が読めること、とても嬉しいです！更新楽しみにお待ちしております！頑張ってください♪ (2021年4月23日 22時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりん | 作成日時：2021年4月18日 23時
