he ページ7
「先生ってさぁ、彼女いるの?」
「どうでしょうねぇ」
「何それ」
「いいから早く終わらせなさいよ」
放課後、単位習得がギリギリの女子生徒に補習をしていた。
そういうことが気になる年頃なのか、こういった質問は意外と多い。
俺は男だったから教師の恋愛事情なんて全く興味はなかったけれど、女子は違うらしい。
さらさらと小テストをこなしていく彼女を見ながら少し羨ましくなって青春っていいよなぁなんて、おじさんじみたことを考えてしまう自分に苦笑する。
夕陽が差し込む教室はやけにセンチメンタルな気持ちにさせる。
校庭から聞こえる野球部の声があの日と同じだな、なんてぼんやり考えてしまうのは昨日Aさんに会ったからだろう。
「終わったー!」
「お疲れ。次のテストは頑張ってよ」
「はぁい」
さっさと帰ってしまう何の危機感もない彼女に笑った。
十代って無敵だなと思いながら俺は窓辺の席に腰かけて砂ぼこりが舞っている校庭を眺める。
自分が高校生の頃って何考えてたっけなぁと頬杖をつきながら思い返してみると下らないことで毎日腹を抱えるほど笑ったり、今思えばどうでもいい悩みに頭を抱えたりはあったが楽しく過ごしてしたように思う。
恋い焦がれたり、熱い友情に涙したりみたいな漫画のような青春はなかったけれど、それでも人並みには充実した高校生活だったんじゃないだろうか。
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ふじ - もう面白いです!続き待ってます! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 68c088e357 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゃん(プロフ) - こうちゃーーん!可愛すぎるしカッコよすぎる。続きが楽しみです!更新頑張ってくださぁぁい! (2020年11月9日 6時) (レス) id: f413f36fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ピーチフラペチーノ - あぁーこのカンジのお話好き!応援してます!頑張ってください! (2020年11月6日 15時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももりん | 作成日時:2020年10月30日 6時