you ページ28
「渡辺、先生……？」
バスの後ろから二番目の二人掛けの席。
まだ寒いというのに相変わらず手袋もマフラーもしていない先生があの日と同じ席に座ってた。
私とばっちり目があった先生は驚きが隠しきれてなくて、思わず笑ってしまった。
多分このバスを利用するのも今日が最後だというのに、まさか会えるなんて。
「隣、いいですか？」
「もちろん」
不思議と気まずさはなかった。
どうせもう会うこともなくなるからって割り切っているからなのだろうか。
「髪、切ったんだね」
「ふふ、気分転換です」
「似合ってる」
そう言って笑った先生はいつもの先生だった。
当たり障りのない、意味のない会話が私の心のかさぶたを剥がしていく。
この傷はまだ治したくない、なんて可笑しいのかな。
「ここ、だよね？」
「はい」
先生は降車ボタンを押す。
あっという間についてしまう停留所。
私たちはあの日と同じようにバスから降りた。
久々に話せた最後の時間は呆気なくて名残惜しいけれど、私はもう先生を引き止める言葉を持っていない。
これで最後だ。
でも、よかった。
今日先生と普通に話すことが出来たから。
後悔なんてない。
「じゃあ、」
あの日と違って今日は私から踵を返そうとする。
何でもないように、自然に、切なさも苦しさも日常に溶かしてしまうように。
「……Aさんっ」
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ふじ - もう面白いです！続き待ってます！ (2020年11月14日 0時) (
レス) id: 68c088e357 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゃん(プロフ) - こうちゃーーん！可愛すぎるしカッコよすぎる。続きが楽しみです！更新頑張ってくださぁぁい！ (2020年11月9日 6時) (レス) id: f413f36fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ピーチフラペチーノ - あぁーこのカンジのお話好き！応援してます！頑張ってください！ (2020年11月6日 15時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももりん | 作成日時：2020年10月30日 6時
