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「これをやろう」

「これは…数珠?」


ㅤすっと差し出された彼の手のひらの上を見る。赤い数珠が乗っていた。


「ああ。確か衣笠に引っ越したなら今あの辺りは物騒だからな。身に付けておいて損はないはずだぜ」

「そう? それは…陰陽師視点の物騒っていう…?」

「まあな。あそこは京の結界から外れてるし、心配なだけだよ」

「へえ…」


 見返すと、彼はじっと私の目を見てくる。鋭い眼力に負けた私はすぐに視線をそらした。


「…ま、そういうこった。この数珠は瑪瑙で強力な魔除けのご利益がある。お前にもしものことがあったとき、こいつが身代わりになってくれるだろう」

「そっか。わかった。その…大事にするよ」


 おずおずと花開院くんの手から数珠を取り、そのまま左の手首に通してみる。色味の濃い赤色だったが意外と肌に馴染むようで自然だ。

 そういえば、二人並んで帰るのは久しぶりだな。隣を歩く幼なじみを見て何となく思う。
 といっても以前と違い、住む方角が違うので学校を出たらお互い正反対の道に進むのだが。

 肩を並べて校庭を横切り、校門を潜ったところで花開院くんが私の名を呼んだ。


「どうかした?」

「気をつけて帰れよ。お前はすぐ変なものを引き寄せちまうからな」

「わかってるって。もう、君は心配性だなぁ」

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ワモテ(プロフ) - 雪もちわんこさん» ご感想ありがとうございます。シリーズ物の第一作目なので思い入れがあり、ご評価頂けて嬉しいです。(*^^*) (2022年2月20日 22時) (レス) @page11 id: 6d40387773 (このIDを非表示/違反報告)
雪もちわんこ - 文章がよくてとても面白い小説でした!語彙力がない私と比べものにならないきらいです、、、! (2022年2月20日 19時) (レス) @page14 id: 1c6c8bc54a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワモテ | 作成日時:2021年10月26日 16時

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