【鬼滅の刃】黒猫は夜を駆ける

近所迷惑が十五件 ページ16

〜鬼殺隊本部にて〜

「うふふ〜♪(Aちゃんが狐だったなんて驚いたけど、ふわふわでとっても可愛いわ！撫でられて気持ち良さそうにしてるAちゃんも好き！)」ｷｭﾝ

『……♪(蜜璃ちゃん撫でるの上手いなぁ)』

此処は鬼殺隊本部。
柱合裁判が始まる少し前である。

其処には甘露寺に優しく撫でられて機嫌の良い狐姿のAがいた。

本部へ向かう道中、どうせ何時かは知るんだからとAが化狐である事を教えたのだ。

最初はそれに驚いた甘露寺だったが、Aがもふもふな事に気付き、先刻からずっと撫で回しているのであった。

そんなほのぼのした空間に不似合いな水柱、冨岡義勇がAを視界に捉えた。

「…………お前、Aか？」

相変わらず無表情な冨岡だが、いつもより僅かに目が見開かれている気がする。

『………義勇！！』

と甘露寺の腕をすり抜け、冨岡の足下に擦り寄る。

その時、甘露寺はとても残念そうな顔をしていたという。

そのままAを抱きしめた冨岡は、何とも満足そうな顔をしていた。

「…久しぶりだなA、元気だったか？」ﾆｺ

「(あの冨岡さんが笑った……もしかすると明日は槍が降るんでしょうか。)」

蟲柱である胡蝶しのぶは、暫し本気で考え始めた。

『勿論だよ！義勇は水柱だったんだね、凄いなぁ。

昔よりも強くなったねー。』

「………俺よりAの方が強いだろう。」

実際に冨岡はAと幾度か手合わせをした事があるが、一太刀も当てた事は無い。

『うん、否定はしないよ？』

そうして久方ぶりの再会を楽しんでいると、そこに胡蝶が割り込んで来た。

「あら冨岡さん、確か動物は無理なんじゃありませんでしたっけ？」

「……無理だ。」

「じゃあ冨岡さんが抱えてる、その可愛い狐は何なんですかね？」

胡蝶はニッコリとAを指差して言った。

「……狐じゃない。(Aは化狐であって只の動物じゃない。)」

言わずもがな()の中は省略されているのだ。

『(うわぁ出たよ義勇の圧倒的な言葉足らず…。
…まぁ面白そうだからこのままほっとくけどさ。)』

Aは迷わず面白そうな方を選択した。

「あら……そうですか。
冨岡さんには幻覚が見えているんですね可哀想に…。

良ければ精神安定剤を処方しましょうか？」

「……断る。」

周りでその会話を聞いていた一部の柱達は、必死に笑いを堪えていたそうな。

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