甘くて、苦くて、甘い。【u.s.s.s.】

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いったいどこへ向かってるのだろうか。



たくさんの生徒が歩く廊下を逆流する。



手を捕まれて歩いているが、正直ついていくのが大変。



それでも渉くんは、振り返らず前へ進む。



やっと人の少ない所まで来ると、空き教室に入った。





「渉くん、えっと、どうしたの？」





ここまで、なんの説明もなかった。



けど、渉くんは顔を伏せ私と顔を合わせてくれない。





「Aってさ、今日男にチョコ貰ったよな」





チョコの話？



どうしてそんな事聞くの？



期待してもいいの？





「ううん。

貰ってない。

全部断った」





その言葉で顔を上げる。



翡翠の瞳が一瞬揺らいだ。





「男のチョコは全部断るってこと？」





「そうじゃなくて…。

よく知らない男子だったから、受けとるの躊躇しちゃって…」





「そっか、じゃあ」





そう言いながらカバンを漁り始める。



すると、取り出されたのはかわいいラッピングの袋。



渉くんの瞳と同じ色のリボンで結んである。





「これ、返却不可だから。

じゃあね」





私にその袋を押し付けるように持たせ、それだけ言い教室から出ていってしまった。



なぜか取り残された。





「返却不可って、返すなってこと？」





渉くんから貰った物を見ると、有名チョコレートブランドのパッケージ。



そして、添えられたカードに、




『義理じゃないから』




の文字。



空き教室に一人、ドキドキが止まらない。



このカードから伝わることなんて一つしかなくて。



だから、



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