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陽炎 ページ10

『時弥、水持ってきたよ。』






夜が明けて朝食の準備を手伝っていると、沙代姉から時弥の体調が急変したと知らされた。





元々安定しない症状だから、珍しいことじゃない。






それでも落ち着かず、黙って時弥のところに訪問した。








時弥「A兄……」

『まずは水を飲みな、後で粥を持ってくるから。』








意識が朦朧としているのか、まともに身体が動かないらしい。





ゆっくり身体を起こしてやって、水を口に注いだ。


少しずつ嚥下するのを確認して、また布団に戻す。






時弥「A兄、僕……行けるかな?東京。」

『……大丈夫。見れるよ、世界一の電波塔だって。だから今はもう寝な、寝るまでいてあげるから。』






時弥は荒い息を整えて、目を閉じた。

だんだん寝息が聞こえ始める。








『ごめんな。』



















『ん?』







長田の家を出て、湖に沿って帰路を歩いていると見覚えのあるスーツ姿が。






水木「クソッ、バカにしやがって……!」







そう言って何かを湖に投げようとした。


でも思いとどまったのか、持っていたものを懐にしまってタバコを取り出した。







水木「はぁ……どうしろってんだ、俺に。」

『どうかしました?水木さん。』

水木「……うわぁあああ!!」






水木は芝生の上に座り込みタバコに火をつけた。




思い悩んでいるのかと、気を紛らわせてあげようと声をかけら、コレだ。










大の男がうわぁああああ!って……









『おっと。人の顔見て叫ぶなんて失礼じゃありませんか。』

水木「急に後ろから声をかけてくるからだろ!」









俺は、水木が驚いた拍子に手放してしまったタバコを掴んで、水木の口に戻した。








『それはすみません、何か悩んでいたようなので。』

水木「それは…!……何でもない。」








ハッキリしない返事が返ってきた。


水木は俺から目を逸らすばっかりで、全然目が合わない。






あからさまだな。









『俺のことですか?俺のことなら何でも聞いていいですよ。やましいことなんてないですから!』

水木「何だそりゃ……」








水木は呆れながらも表情が緩んだ。





やっぱりその顔の方が男前だよ……











やっぱり?

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作者名:Mr | 作者ホームページ:Mobu  
作成日時:2023年12月16日 2時

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