空蝉 ページ7
長田「今からこの
俺が放心している間に、長田が侵入者の処分を始めようとした。
乱暴に地面に跪かせて、ゴリラのような奴が斧を大きく振り翳す。
動けない俺は、ただ見ていることしか出来なかった。
ダメだ…
水木「やめてください!!暴力は良くないです、それに彼が殺したなんて証拠はないじゃありませんか。」
誰も何も言わない。
誰も何も疑わない。
そんな状況で舞台に出てきたのは水木だった。
水木の声で強張った身体が解れた。
斧を持ったゴリラは動きを止め、その場の全員の視線が水木に向く。
何も言わずに、まるで水木がおかしなことを言っているように見ている。
壊れてやがる。
次第に水木に向けられる視線は殺気に変わっていった。
このままでは危ない。
『そこまでにしてください、長田。証拠もないのに咎めるのは馬鹿がすることですよ。』
乙米「なっ…」
『そんなに不安なら、潔白が証明されるまで身柄を引き取っては?』
今度は俺に冷たい視線が集まる。
どうだっていい、一度二度と打たれればあとは何度打たれたって同じだ。
殺したくない、死なせたくない、守りたい。
らしくない言葉と意思が頭から離れないんだ。
仕方ない。
長田「……では。奥様、この者は私の元で預かるとします。」
乙米「ええ、そうしてください。A、アナタももういいです、挽回しなさい。今度こそ我々龍賀を守るのですよ。」
『はい、精進します。』
振り返ってもう一笑。
死体の転がってる社には似つかわしくないだろうが、乙米は不気味ながらも
後で水木にはお礼を言っておかないと。
おにぎりでも持っていこう。
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