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花梅 ページ4

時麿「一族のものはお籠りを始めよ。」
















さっきの出来事が嘘だったかのように、時麿は途端にしゃんとした。








『悪いことは言いません。沙代姉と時弥を連れて村を去ってくれませんか?』

水木「何故そんなことを……」

『ここは生き地獄です。』








きっと今の俺の顔は死人のようだろう。






沙代姉がさっきから水木に向けている視線は、好意だ。

時弥も珍しい都会人に懐いている。



一族の因果を背負わせられる謂れは二人にはない。













 俺は二人(家族)を守りたい。













だからどうにか連れ出してもらわなければならない。










水木は見ず知らずの人間だ。


でも何故か、この人には本音が言えた。







こんな感覚は久しぶりだ……










『助けてやってください。』

水木「勿論、僕は克典社長の味方です。」


乙米「A!何をしているの?」











後ろから焦燥感を滲ませる乙米が催促する。


よそ者である水木には邪険な視線を送った。











『それでは失礼します。今夜は部屋を出ない方がいいですよ、寝付きが悪いようならコレを。』













俺は一礼して、別れ際に香り袋を渡した。


踵を返して乙米の方へ向かう。











乙米「今度は役に立って見せなさい。コレも一族、"家族"を守るためなのですよ。」

『善処します。』









乙米の険しい表情と裏腹に、俺の心と裏腹に、俺は笑みをこぼした。


















あぁ……なんて恨めしくて、苦しくて、痛い人だ。

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作者名:Mr | 作者ホームページ:Mobu  
作成日時:2023年12月16日 2時

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