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惜別 ページ17

龍賀丙江が死んだ翌日、Mとゲゲ郎の奥さんを探るため村中を歩き回った。


そして最終的に龍賀家の本邸に辿り着く。







「え?A坊ちゃんですか?そうですね、今朝はお見かけしませんでした。」










手がかりのため龍賀の本邸にいるAに会って話をしようとしたが、どうやらいないらしい。








水木「いなくなったって……それはいつ頃ですか?」

「昨晩からです。」


「あら、そうなの?」

「まぁ、あの子人当たりはいいけれどたまに可笑しいことをする子だからね。」

「いつもふらふらどこかへ行ってしまう。毎度11年前のあの時のようよ。」









一人の使用人が言うと、たちまち周りの使用人も首を縦に振った。










「でしたら、お部屋でお待ちになりますか?」


水木「いえ、いつ戻ってくるかも分からないですし……って、こらゲゲ郎!」









俺が断ろうとした時には、ゲゲ郎は既に屋敷に入って行ってしまった。




ほんと、さすがと言うか何と言うか……



















結局使用人に案内されて、俺たちはAの部屋で待つことになった。












部屋は思っていたよりもずっと広い。





この数日でアイツが乙米に殴られ打たれたところを何度も見た。






だからもっと薄暗くて狭い部屋かと思っていたが、広くて日当たりのいい部屋だった。









水木「どういうつもりだゲゲ郎。Aがいつ戻ってくるか分からないってのに。って、勝手に物を漁るな!」









ゲゲ郎に意図を聞こうと振り返ると、ゲゲ郎はタンスや机の引き出しをひっくり返す勢いで物を漁っていた。










ゲゲ「水木、オヌシの先の話が気になった。詳しく話せ。」

水木「さっき?……あぁ、Aによく似てるっていう11年前の養子の話か。あれは俺も詳しくは知らん。」

ゲゲ「うむ。じゃがそれともう一つ、オヌシの戦友の話じゃよ。」

水木「あ………。」









ゲゲ郎と話していく内に気が抜けた。


うっかり戦時中のアイツの話をしてしまった。












水木「名前も、声も思い出せないんだよ………」

ゲゲ「ワシもじゃ。」

水木「え?」

ゲゲ「ワシも……何年も思い出そうとしておるのに、思い出せない記憶がある。」












あ、ゲゲ郎のあの表情……




知ってる。
















ゲゲ「ワシは妻と共にソヤツも探しておるのじゃ。」

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作者名:Mr | 作者ホームページ:Mobu  
作成日時:2023年12月16日 2時

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