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同郷 4 ページ16

『……』

「どうかしました?」



『い、いや……(で、でもたまたまだろ…日本人とは限らないし。転生者とも限らな「……あの、魔道祖師って知ってます?」はい……(……。)』


辺りに沈黙が続く。
永雪(ヨンシェ)はこんなにも自分があっさり返事をするとは思わなくて、どう対応すればよかったのか模索していた。時既に遅しだが…


「っ!!じゃあ、つまりっ、貴方は今絶賛転生シチュを味わっているってことですね!!?」

『はい。』

「いやぁ〜、まさか貴方も僕と同じ転生シチュを味わっている同胞だなんて…。

ちなみに仙門に入っているようですけど、どこの門弟です?」


この緑埜とか言う青年は、永雪(ヨンシェ)が転生してここにいるということを知る途端表情がより一層ほんわりと和むような笑顔になっていた。

近くの茶屋で茶菓子とお茶を頼み手渡してくれた。


『……これ』

「おごりです。記念すべき同郷のものとの再会、遠慮しないで食べてください。」

『(あ、この人いい人だ。)』


永雪(ヨンシェ)はお金にはめっぽう目がなかった。
奢ってくれる人=いい人という刷り込みがなぜかニート時代からあった。















『お前その名前を名乗るのはやめておいた方がいい。目立つ。』


そして席について一言二言話し出すと口が止まらなくなっていた。
久々の日本語で話をすると、永雪(ヨンシェ)にはまるで現実世界に戻ってきたような感覚で一段と表情も警戒心も緩んでいた。

そうして切り出したのが緑埜の名前の話だ。


「え?ああ…この身体は孤児みたいで、名前をつけてくれる人なんていなかったので…」

『なるほどなぁ。』

「幼い頃から色々苦労しましたけど、前世の知識がここで火を吹きましたね。」

『幼い頃から?お前いつ転生したんだ?』

「転生したのは5年前くらいですね。」

『(うっそぉ〜、先輩かよ…!)そ、そうなんだ。俺はほんの数ヶ月までから。』

永雪(ヨンシェ)は若干しょんぼりした表情で俯きながら、ボソリを言った。


「そうなんですね!」


しかし緑埜の笑顔には一点の曇りもない。
そんな彼がなぜ魔道祖師を好きになったのか…

BLが好きな腐男子だからなのか、魔道祖師の内容に感動したのか、はたまたどっちもなのか……

先刻に頭を下げた様子を見るに、多分両方なのだろう。

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作者名:Mr,Mobu | 作者ホームページ:Mobu  
作成日時:2023年2月6日 2時

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