全く知らない小説&アニメ世界の中に引き摺り込まれた【魔道祖師】 (ページ15)

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同郷　３ページ15

ブタくんは言い終える前に、そのふくよかな体をものともしない一撃を顔面に食らったのだ。

『今この場にいない奴を侮辱するのは、野暮ってもんだろ？』

そう言い残し、永雪(ヨンシェ)はその場から去っていった。

…

『あ〜〜〜"…やっちゃったよぉ、ついカッとなって…』

その時永雪(ヨンシェ)は深く後悔していた。
別れ際までになるべく騒ぎを起こさないように念を押されていたのに…

『こういうのを軽率な行動って言うんだよなぁ…どうしよ。』

だから永雪(ヨンシェ)はより一層頭を抱えていた。

「あ、あの〜、大丈夫ですか？」

どんどん顔色が悪くなる永雪(ヨンシェ)を見て、男が声をかけてきた。
永雪(ヨンシェ)は顔を上げて人物を確認すると、目の前にいるのは見知らぬ青年だった。

緑と白の清潔な漢服に、三角巾をつけた青年だ。
青年は永雪(ヨンシェ)の顔色を見て心配したのだろうか…

『あ、大丈夫です。身体はこれと言ってないほどに健康体です。』

永雪(ヨンシェ)は遠い目で言った。
「きっとこの健康体は数刻のうちに腫れ上がるだろう」確信できたからだ。

『それじゃあ、俺はこれで…』

満足に足に力が入らない。
ずるずると足を引き摺りながら青年から離れようとした、その時だった。

「あ、あの！！さっき成敗してくださり、ありがとうございましたぁぁ！！」

『は？』

永雪(ヨンシェ)はしばらくの間茫然とした。
だって急に温厚そうな青年が威勢のいい声色で感謝を述べ、振り向いたらこれまた貴重な90度ジャストのお辞儀をしていたのだから。

『せ、成敗？』

「先程あのブタ…じゃなかった。ふくよかなクソ野郎にいいパンチを入れて下さったではありませんか！！

しかも、自分のことではなく尊き僕の推しに対しての侮辱に怒りを向けて下さっていた。人思いの貴方に一言お礼を言いたくて……」

青年はつらつらと言葉をつなげる。
その声色は真剣で、まるで前世にいたオタクの類いのものに似ていた。

『……(あれ？パンチ？)』

そして今この時代には使われるはずのない言葉……

『お、お名前を伺っても？』

「はい！緑埜涼太(みどのりょうた)です！！」

　『(………日本人かよ……)』