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二十八章 ページ28

○月☆日#曜日。

京都のある街で、盛大な祭りが行われていた。
美しい町の風景と、桃色の花がよく似合い、皆笑顔で桜を眺める。
花見である。

「おや、川海女医」
盃片手に花を眺めていた一人の男性が、川海咲子の姿を見るなり、親しげに手を振ってくる。
けれども川海女医は振り返らなかった。それどころか、ちらりと一瞥しただけで、横を通り過ぎようとしたのである。
「川海女医、無視はひどいじゃあないですか」

男性は笑顔で川海女医の肩を摑む。川海女医は振り返りながら、鋭い目つきで女性を睨みつけた。
「久方ぶりですね、小泉八雲殿。相変わらず人を騙すのがお得意なようで?」
「何の事です?貴方こそ相変わらず面を被ったように無表情ですね、川海咲子女医」
二人はしばし睨み合う。
やがて、小泉が肩から手を離した事により、睨み合いは終わった。

「娘さんの事は悪かったと思っておりますよ。本当です。娘さんが死んでしまったせいで、貴方の医者生命は終了したんですからね」
「八雲殿、妾なあんたに謝って欲しい訳じゃない。娘を返して欲しいだけだ」
「そんな事が私にできるとでも?」
「できるさ。あんたの異能、『怪談』は死者を蘇らせる異能だろ?」

しばしの沈黙。
やがて、川海女医が小泉を睨みながら云った。

「誰もがあんたを正義の味方だと思ってる。でも違う。あんたは闇組織の長だ。妾の異能を狙い、夏の命を奪ったー極悪人だよ」

小泉はその顔に笑みを貼り付けていた。

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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時

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