二十二章 ページ22
「お母様に会いたい」
私は涙が引っ込むと、乱歩さんを見つめながら云った。
きっとお母様、今頃独りぼっちで泣いてる。
強いフリした弱虫。それがお母様だから……。
「まあその気持ちが判らなくもないよ。僕も父上と母上を亡くしてるけど、社長がいるから平気なんだ」
例の駄菓子を買った駄菓子屋で、追加で買ったラムネの中のビー玉を取るべく悪戦苦闘していた乱歩さんが、意識はビー玉に向けたまま、私に云った。
「けど君は、僕にとっての社長みたいな人がいない上に、僕以外には見てもらえすらしない。幽霊って、………淋しいんだね」
乱歩さんにそう云われて、思わず俯く。
ネックレスとして首から下げていた、おばあさんから貰った鈴が、チリン…と澄んだ音を立てた。
その時ー。
「おや乱歩さん、その子誰だい?」
声をかけられて、顔を上げる。
あ、与謝野さんだ。
「珍しいじゃないかい。乱歩さんが連れてる子なんて」
………………………………………………ん?
「名前は何て云うんだい?」
頭の中が混乱する。
与謝野さん、私が見えてるの?
「与謝野さん、夏君が見えてるの?」
乱歩さんも当惑したように問いかける。けれども与謝野さんは平然と頷いた。
「見えてるけど……何云ってるんだい?この子はここにいるじゃないか」
与謝野さんがそう云った直後。
再び鈴がチリンと鳴って、与謝野さんが眉間に皺を寄せる。
「おや?さっきまでここにいたんだけどねェ」
今度は与謝野さんが混乱したようだった。
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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時