世界一の名探偵は“視える”そうです

一章 ページ1

賑わう街中。
私、川海夏は、周りを歩いていく人達をちらりと一瞥しながら飛んでいた。
空の上を。ふわ〜っと。
………………え？私は何者なのかって？

ふふん、聞いて驚くな、私は幽霊だ‼
つい先日、交通事故に遭ったばかりの初々しい幽霊だ‼

そう云う訳で。
ね？私が浮いてても、もう全然不思議じゃなくなったでしょ？「ふーん」ってかんじでしょ？

街を見下ろしながら飛んでいると、頭にぽつんと冷たい何かが着地する。
すぐ近くにある空を見上げると、灰色の雲が集まり、透明な粒を落としていた。
雨が降るかな。強くなるかも？

雨は嫌い。
私が独りだって、知らしめる様だから。
ザーッと音を立てて、雨が降り始める。
街中の人々は、慌てて建物に入って行った。

私は路地裏に着地して、ゴミ袋の横にうずくまる。
「………もう、やだ」
ポツリと呟くとー

「君、こんな所で何してるの？」

話しかけられて、ハッと顔を上げる。
そこには少し小柄な青年が立っていた。

ーああ。

この人、私が……………
“視えてる”のか。

「貴方、………誰？」
思わず問いかける。
この人なら、私の孤独を紛らわせてくれるんじゃないかー

そんな気がしたからだ。

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