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【49】離すまい ページ50

「い、いやいや、伝染るよ姉さん」



『もう伝染ってるでしょうよ、伝染るなら』



「そうだけど…、」



『風邪引くとなんか怖いじゃん、孤独感じるし。



大丈夫大丈夫、私は問題ないから』



「…姉さんが風邪引いたらマネ業休ませて寝させるからね」



『大丈夫だって』







グリグリと顔を押し付けてくる光太郎の頭に手をおいて、



京治に腕を伸ばしてゴミを手渡す。



超渋々だけど、ゴミを持っていってくれる京治。



ありがたいなぁ、と背中を眺めていると、



私に抱きつきっぱなしだった光太郎が声を上げた。








「…A」



『はぁい?』



「のどかわいた」



『ん、わかった。



水が良い?スポドリが良い?』



「すぽどり」



『はいはい』







少し赤く染まる顔でそう言った光太郎。



はいはい、とベッドから立ち上がろうとすれば、



ぐんっと腕を引っ張られた。



見れば、私のジャージの袖を、絶対に離すまいと、



握りしめた光太郎がいた。



セットが崩れて、マッシュのようになった髪の毛を撫でて話しかける。







『光太郎、離してくれないと取りに行けないよ』



「…あかーしがいるじゃん」



『でも、京治は雪絵の看病もしてるよ?』



「…お願い、行かないでA」



『30秒も無理そう?』



「むり」







熱のせいか若干潤んだ目で、



必死にフルフルと首を振る光太郎。



無理そう、と思い、引っ張られるがままに、



またさっきのようにベッドの縁に座って抱き締められながら、



声を出す。







『京治、ポカリ持ってこれる?』



「分かった」







3秒も経たずにパタパタと走ってくる音が聞こえてくる。



ありがたいなぁ、と思いつつ、



必死に離すまい、と私の腕を持った光太郎の頭を撫でた。







続編移行前に、どうか評価をお願いいたします…!

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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時

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