【47】死にかけの木兎 ページ48
『気持ち悪さは?』
「…ちょっと」
『無理そうなら堪えたら駄目だよ。
どうしたの、いきなり倒れるなんて』
「…あさ、から、目眩があって、そのままやったら、倒れた」
『こりゃーインフルかな〜』
「いんふる…」
『大丈夫大丈夫、とりあえず水筒飲んで』
すると、3口ほど飲んだ光太郎が、首を振った。
青白くなった光太郎を擦って、どうした?、と聞く。
「これ以上飲んだら吐く、」
『ん、そか、飲めそうになったら飲んで』
そう言って水筒を受け取れば、飛雄が話し掛けてきた。
「…俺、なんかする?」
『あ、じゃあ及川徹呼んできてほしい』
…瞬間、すんごい顔をしかめた飛雄。
飛雄は及川徹のこと、嫌いだもんなぁ、と思うが、
しょうがない。
お願いします、と頭を下げた。
寄りかかったまま、目頭を手で抑えて動かなくなった光太郎。
『…んね、座ってるの辛いよね?』
「…まぁ、辛いか辛くないかで言えば、そりゃ…」
『ん、ちょっと待ってて』
第二体育館に走ってきた及川徹。
駆け寄って、しかめっ面で後ろにいる飛雄にお礼をいい、
及川徹に向かって話し掛けた。
「どうしたのAちゃん」
『光太郎が熱出したんだけど、保健室借りられたりしない?』
「…あぁなるほど、おっけい、主事さんに聞いてくるよ」
『ありがとう』
「…んね、交換条件って言ったらアレなんだけどさ、
そろそろ名前で呼んでよ、フルネームってなんか嫌」
『……ハァ、分かった分かった、分かったから、
お願い徹』
ぱぁぁと顔を輝かせた及川徹、改め徹は走って体育館を出ていった。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時