【32】駄目でした ページ32
…今日は、平気だったな。
光太郎の逆鱗が何処かわからない。
泣かなかったり、拗ねなかった今日のほうが珍しい。
1度泣くか拗ねると大分面倒くさい。
クロくん達に感謝だな。
明日も部活だ、とマネ着を用意して、幸せに包まれる布団に潜った。
…明日は早く起きよう、オフを挟むと起きるのが億劫になりがちだ。
この時に、そう思って耳元に携帯をおいて寝たのが間違いだった。
爆音で目が覚めた私は、徐々に意識がはっきりするとともに、違和感を覚えた。
寝た気がしない、疲れが取れてない。
…加えて、アラーム、こんな音だっけ。
…ううん、違う、これは電話の呼び出し音だ。
そう思った瞬間、目が一瞬で冴えた。
時間、3時。
誰から、こんな時間に、そう慌てて携帯を寝っ転がったまま目の前に持ってきた。
【光太郎】
…駄目でした。
今日も、泣くか拗ねるかしてるな。
クロくん達でも駄目だったか。
…いや、日付は越してる。
じゃあ昨日はセーフか。
…違うそうじゃない、早く出ないと。
___ピッ。
『…もしもし、光太郎?』
「…A」
『どうしたの、こんな夜中に』
「…来て」
『…来て!?こんな時間に?』
「……お願い、A、」
私の名前を呼んで、そのまま電話の奥で泣き崩れた光太郎。
しゃくりあげて、嗚咽が聞こえてくる。
一回発作みたくなって、過呼吸になったのを思い出す。
私は冷静じゃないと、そう自分に呪いをかけて、光太郎?、と名前を呼んだ。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時