【4】異変 ページ4
キャプテンになってまだ半年経ってない、疲れてるのかな。
今日は甘やかそう、そう思って、光太郎の願望通り、光太郎を膝立ちになって受け止めた。
光太郎の腕に収まった、というより、抱き止めた、のほうが的確である。
そのまま光太郎に、私の肩に、目頭をでゅくしされた。
耳横辺りにくる髪の毛を、セットにそって撫でる。
光太郎の腕が、くびれ辺りに巻き付くのが分かった。
頭をぽんぽんとしながら、背中を擦る。
光太郎の無言に、少し違和感を覚えて、私から口を開いてみた。
『こうたろー?』
「…やっぱりハグ邪魔?」
『違う違う。どうしたのか心配になってさ』
「…?いつも通りだぜ?
あかーしにむしろ、うるさいです!!とか言われたばっか」
『そっか。光太郎が元気なら良かったよ』
このときは、いつもと変わらない、…いや、変わらなく見えた一度の光太郎の返事に安堵してしまった。
そのまま、勉強に戻ってしまったのである。
…でも、今思い返せば、全然いつも通りなんかじゃなくて。
これから起きる予想もしない光太郎の異変の前触れだった、
ということに気付いたのは、異変に周りが振り回されてからだ。
…木兎光太郎、宇佐埜Aと付き合い始めて、最初の異変である。
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作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時