検索窓
今日:196 hit、昨日:335 hit、合計:105,570 hit

【21】メンヘラの出現 ページ21

焦って、普段は絶対にしないのに、靴の後ろを踏む。



パコパコと脱げかける靴を必死に引っ掛けて、校門により掛かる光太郎を見つけた。






『光太郎!』






光太郎がパッとこっちを見たのが分かる。



普段待ち合わせになると、お互い歩み寄るのだが、光太郎が歩いてこない。



…相当怒らせたか、やっちまったな、そう思って、慌てて走り寄った。



絶え絶えの息を、地面を見て整え、



…いや整わなかったんだけど、とりあえず顔を上げる。



唇を噛んでるのが見えた。



泣きそう、…というか泣いてるなこれは。



怒ってる、ではなく泣いた、の方だという確信になった。






『光太郎、…っハァ、ごめん、先生と話してて気付かなかった、っは、』



「…Aに嫌われたかと思った」



『なんで、嫌うわけ、っハァ、ないじゃない、』






最近、嫌われる、嫌われた、と言葉にすることが多くなった。



…その分、大好きだよ、や、大丈夫、と言う回数が増えた。



大丈夫大丈夫、大好きだよ。



何度こう言うようになっただろう。



私が、おかしくなりそうだった。



光太郎?と名前を呼ぶと、光太郎の頬に涙が伝った。







『ほらしゃがんで、…どうしたの』






少ししゃがんだ光太郎の頬の涙を親指で拭う。



拭うと、スッと元の姿勢に戻って、どうもしない、と言われた。

【22】メンヘラの出現→←【20】メンヘラの出現



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
330人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:莉子 | 作成日時:2024年1月4日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。